「お、何だ? お前店長から蒼に乗り替えたの?」
「ごちゃごちゃさっきからうっせぇですよ紅先輩」
「っ!? な、お前歳上に向かって!」
紅先輩のせいで全然話が前に進まない。私が乱暴な口調でそう言うと彼が顔を真っ赤にして対抗するように声を荒げた。
こうなったら子供の喧嘩が始まってしまうのは目に見えていた。
「はぁん? 精神年齢はどこからどう見ても私の方が上ですよ!」
「あぁあん? お前なんてどこからどうみてもただの餓鬼じゃねぇか!」
「はぁあぁあん? 餓鬼じゃないです! 15です!!」
「餓鬼だろ!」
こんなにフォロー出来ない言い合いはないよ、と蒼先輩が間で溜め息を吐く。
あぁ、早く紅先輩から離れたい。顔だけはいいのにこの頑固な性格がどうも私と合わなくて言い争いが耐えないのである。
蒼先輩にラブレターを押し当てるように渡すと彼ははぁっと本日二度目の溜め息を吐いた。
「またですか……小野さんいつもすみません」
「別に私は渡すだけですので。多分私が若いから皆も渡しやすいんだと思います」
うーん、と蒼先輩はそれに苦笑い。その表情を私は何度も見たことがあった。
とにかく蒼先輩は見た目の格好よさと対応の良さでお客さんからの人気が高い。そして様々な方法で彼に近付こうと、このようなラブレターやプレゼント攻撃が蒼先輩ファンの中で行われてしまっている。
このファミレスが抱えている一つの問題でもあるのだ。
「お客様からの差し入れっていうかこういうので一回怖い目に遭ってるんですよね」
「……な、何があったんですか?」
「まぁ、ね?」
余程言いたくないことらしい。蒼先輩はニコニコと口を閉じたままだった。聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか。
蒼先輩が話したくないのであれば……と深くは言及しなかったのに、隣の男は全く話を聞いていなかったのかペラペラと話し始めた。
「盗聴機、仕掛けられてたんだよ……ぐふっ!?」
「紅、そろそろ黙ろう?」
蒼先輩の鉄拳が紅先輩の脇腹にクリーンヒットした。端から見れば同じ顔の人を殴っているようにしか見えなかったんだが。
「ごちゃごちゃさっきからうっせぇですよ紅先輩」
「っ!? な、お前歳上に向かって!」
紅先輩のせいで全然話が前に進まない。私が乱暴な口調でそう言うと彼が顔を真っ赤にして対抗するように声を荒げた。
こうなったら子供の喧嘩が始まってしまうのは目に見えていた。
「はぁん? 精神年齢はどこからどう見ても私の方が上ですよ!」
「あぁあん? お前なんてどこからどうみてもただの餓鬼じゃねぇか!」
「はぁあぁあん? 餓鬼じゃないです! 15です!!」
「餓鬼だろ!」
こんなにフォロー出来ない言い合いはないよ、と蒼先輩が間で溜め息を吐く。
あぁ、早く紅先輩から離れたい。顔だけはいいのにこの頑固な性格がどうも私と合わなくて言い争いが耐えないのである。
蒼先輩にラブレターを押し当てるように渡すと彼ははぁっと本日二度目の溜め息を吐いた。
「またですか……小野さんいつもすみません」
「別に私は渡すだけですので。多分私が若いから皆も渡しやすいんだと思います」
うーん、と蒼先輩はそれに苦笑い。その表情を私は何度も見たことがあった。
とにかく蒼先輩は見た目の格好よさと対応の良さでお客さんからの人気が高い。そして様々な方法で彼に近付こうと、このようなラブレターやプレゼント攻撃が蒼先輩ファンの中で行われてしまっている。
このファミレスが抱えている一つの問題でもあるのだ。
「お客様からの差し入れっていうかこういうので一回怖い目に遭ってるんですよね」
「……な、何があったんですか?」
「まぁ、ね?」
余程言いたくないことらしい。蒼先輩はニコニコと口を閉じたままだった。聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか。
蒼先輩が話したくないのであれば……と深くは言及しなかったのに、隣の男は全く話を聞いていなかったのかペラペラと話し始めた。
「盗聴機、仕掛けられてたんだよ……ぐふっ!?」
「紅、そろそろ黙ろう?」
蒼先輩の鉄拳が紅先輩の脇腹にクリーンヒットした。端から見れば同じ顔の人を殴っているようにしか見えなかったんだが。