ぱっと彼に目を移すとそんなケチャップに負けないぐらいに顔を恥ずかしそうに赤らめていた。
私はそんな彼とオムライスを交互に見ながらポツリと呟く。
「店長、これ……店長が作ったんですか?」
彼はそんな私の問いに「うん」と頷いた。
「桐谷くんに頼んで作り方教えてもらった」
恥ずかしい、と困ったように頭を掻く彼。あぁ、私こういう店長も好きだと再確認する。
目の前のオムライスは形は少し歪でお店に出せるようなものじゃなかった。だけど私はそれを見て食べてもいないのにお腹が、心が一杯になる。
私は大人しく席につくと彼のことを見上げる。
「この言葉の意味は?」
そう言ってオムライスの上に書かれたその6文字の指差して言った。
卵の皮は破けてしまっているけれど、ケチャップで書いた割には上手な「ごめんなさい」は彼の指の器用さを上手く表現している。
私たち喧嘩してましたっけ?、と純粋な疑問をぶつけると店長は赤い表情のまま口を開いた。
「喧嘩はしてないけど、この前は変なこと言ってごめん……ってこと」
「……」
「多分俺に言われたことを気にしているんだろうけど、小野さんに避けられるの凄く悲しいし寂しい。今更こんなこと言っても許してもらえないかもしれない。だけど、良かったらこの前のことは忘れて、これからも仲良くしてくれたら嬉しい」
最後はちゃんと私のことを見つめて言ってくれた。彼の真剣な瞳が私のことを見つめている。こんな風に真っすぐに見てもらえたのは初めてかもしれない。
店長、そのために私にオムライス作ってくれたのかな。わざわざ仕事を置いて厨房に入って?