え?と彼は一瞬固まり、そしてそこから数秒は動かなくなってしまった。
今まで店長も小野みたいな子に好かれて大変だなと思っていたけれど、実際に一番可哀そうだったのって小野なんじゃ……
店長は「えぇ……」と困惑した様子で首の裏を掻いた。
「好きって……でも俺、小野さんよりも一回り年上だし、おじさんだよ?」
「でもあの子、不良に絡まれていたところを店長に助けられて、そこで惚れたみたいですけど」
「不良……」
さりげなく小野から聞いた二人の出会いのエピソードを小出しにしてみたが、店長の反応はすこぶる悪かった。
もしやこの人、小野との出会いもよく覚えていないのでは? 私は「小野はそう話してましたけど」と付け足すと漸く当時のことを思い出したようだが、すぐさま表情を曇らせた。
「でもあんなのって一過性だと思うし、本当に好かれているとは思っていなかったというか……」
「でも今回で分かったでしょう。小野はちょっとおかしい子ではありますけど、好きでもない人間にああいう態度を取るような子ではないと思いますよ」
私は小野と出会ってまだそんなに時間は経っていないけど、純粋な子だというのは見ていて分かる。純粋であるがあまりに店長に老い付くのに必死で空回りしているところがあるけれど。
店長が小野からの気持ちを漸く自覚したところで私は核心に迫る質問を投げかけた。
「で、手を出しそうになったってことは店長も小野のことが好きなんですか?」
「え、いやそれは……」
今まで店長も小野みたいな子に好かれて大変だなと思っていたけれど、実際に一番可哀そうだったのって小野なんじゃ……
店長は「えぇ……」と困惑した様子で首の裏を掻いた。
「好きって……でも俺、小野さんよりも一回り年上だし、おじさんだよ?」
「でもあの子、不良に絡まれていたところを店長に助けられて、そこで惚れたみたいですけど」
「不良……」
さりげなく小野から聞いた二人の出会いのエピソードを小出しにしてみたが、店長の反応はすこぶる悪かった。
もしやこの人、小野との出会いもよく覚えていないのでは? 私は「小野はそう話してましたけど」と付け足すと漸く当時のことを思い出したようだが、すぐさま表情を曇らせた。
「でもあんなのって一過性だと思うし、本当に好かれているとは思っていなかったというか……」
「でも今回で分かったでしょう。小野はちょっとおかしい子ではありますけど、好きでもない人間にああいう態度を取るような子ではないと思いますよ」
私は小野と出会ってまだそんなに時間は経っていないけど、純粋な子だというのは見ていて分かる。純粋であるがあまりに店長に老い付くのに必死で空回りしているところがあるけれど。
店長が小野からの気持ちを漸く自覚したところで私は核心に迫る質問を投げかけた。
「で、手を出しそうになったってことは店長も小野のことが好きなんですか?」
「え、いやそれは……」