私はテーブルの上に店長のために入れた珈琲を置くと彼が「ありがとうございます」とお礼を言った。
前から思っていたけど、店長の癖に年下に対して腰が低すぎるような。今に始まったわけじゃないから気にしないけど。
かちこちに固まっている店長は取り敢えず今回の罪を重く見てるようで何も話さずただ怯えているだけだ。
「花宮さん、警察は待って」
「いや、普通にバイト先の店長通報するのは私でも躊躇います」
「話を……」
「聞きますから聞きますから」
丁度良い、誰も休憩室には入ってこないようだ。私のシフト時間もあと十分ぐらい余裕がある。
私は彼と向かい合うように腰を下ろすと真っすぐに目を見つめた。
さて何から聞こうかなと考えたところ、先程の小野の言葉がどうも頭に引っかかっていた。
「小野に裸見せたんですか?」
「違います!」
「手は出してないんですね?」
「っ……」
それは、と言葉に詰まる彼。だから結局どっちなんだ。
でも相当なことがなければ小野が店長から逃げるようなことはしないはずなんだけど。