と、


「待って待って! 誤解だから、花宮さん!」


いきなり休憩室の扉が開き、現れた店長が大慌てで私たちの元へと駆け寄ってきた。
どうやら部屋の外で聞き耳を立てていたらしい。なんて大人げがないんだろう。

店長!、と声を上げた小野は一瞬嬉しそうに声を上げたが、直ぐに顔を赤く染めて私の背中に隠れた。
私は彼女を守るように店長に向かって疑いの目を向ける。

「店長?」

「ち、違うから! そんな怖い顔でこっち見ないで!」

「あんなに子供には興味ないって言っておいて……」

「だから誤解だよ!」


必死に誤解を訂正しようとする店長。私も勿論小野の言葉を全て信じているわけではない。
店長との出会いを聞いたときのように少し話を誇張するところがあるから。

しかし小野は恥ずかしさに耐えられなくなったのか、「お仕事してきます!」と店長の隣を通り抜けて休憩室を出て行ってしまった。
そんな彼女を追いかけようとする店長を今度は捕まえると休憩室の椅子に無理矢理座らせる。

そして、


「では店長、詳しく聞かせて貰ってもいいですか?」

「ええ、なにこれ。尋問?」

「大丈夫ですよ。店長が何もしてなければお咎めなしなので」

「……」


店長はあははと枯れた笑いを漏らすとその場に脱力した。
店長が警察にお世話になる前に、私が先に事情聴取してやる。