すると小野は「それはそうなんですが……」と指先をいじいじと動かす。やはり様子がおかしい。あれだけのことをしておいて今更恥ずかしがる必要がないからだ。


「小野、正直に話しなさい。店長に何されたの?」

「は、はい?」


黙っておいてあげるから、なんて信じようもない嘘もあえて添えてみる。
というか黙っていないと本当に店長が警察のお世話になってしまう。うちの店から犯罪者を出すのはどうやっても阻止しなければならない。

小野には私に逆らえないようにと指導をしてきたので私の問い掛けに素直に口を開いた。


「こ、この間店長の裸を見てしまって……」

「……は?」

「私調子乗って、そしたら店長に『次はない』的なことを言われてしまって」

「……」

え、なに? 裸を見た? 調子に乗った? 次はない?
小野の口から語られる出来事に思考が着いていかない。しかし私の知らないところで大変なことが起こっていたことだけは理解できた。

もしかして店長、本当に小野に手を出してしまったんじゃ……