「いつも見たいに探しに行けば? まだシフトまで時間あるでしょ」

「そうしたいのは山々なんですけど……」


そう言いながら彼女は顔を赤く染め、視線を泳がせる。会いたいけど会えない。会えても何を話したらいいか分からないって顔をしている。
こんな小野を見るのは初めてのことかもしれない。


「(これは、もしやしなくても……)」


遂に店長、小野の誘惑に負けてしまった? 一瞬これは警察に連絡すべきなのかと迷ったが、まだ確定情報でもないので彼の名誉の為にやめておこう。
私は彼女の様子に興味を持ち、少し腰を屈めて顔を近付けた。


「店長となんかあった?」

「う、うぇ!?」


あからさまな対応を見せる小野。うーん、どうしてこの子はこんなに分かりやすいんだろう。
私もシフト入る前にちゃんと話を把握しておかなければならない。

私は彼女の腕を掴むと休憩室に連れ込んだ。
何かを問い詰められると思ったのか、小野は「あ、あの!」と、


「花宮さん! 店長には今日私がいること言わないでください……」

「どうして?」

「店長に会うの、少し気まずくて……」

「あんなに普段からスキンシップ取ろうとしていて今更か」