店長はそう言うと私に背を向け更衣室の奥へと戻っていく。私は少しの間黙り込んだあと、色々考えて彼の背中をそのまま追った。
そしていつも通りのYシャツに着替えようとしている無防備な店長の背中をつーっと人差し指で撫でてみた。

と、


「う、ひゃ!?」


女の子みたいな声を上げた店長は驚き様にこちらを振り返ると「お、おお小野さん!?」と相変わらずな慌てっぷりを見せる。仄かに頰も赤くなっている。
そんな彼を無視しながら今度は掌を彼の背中に這わせる。


「店長の肌綺麗ですねー。スベスベしてる」

「ちょっと、どこ触って……」

「それに、なんか肌も白いし。学生のとき部活とかしてなかったんですか?」


にしても結構体引き締まっているな。三十路前にしてはまだまだ若い体だ。店長ぐらいの歳になると自然にお腹が出てくるって聞いたことあるけど嘘だったのかな。
もしかして店長の癖にジムとか通ってるの? なにそれギャップ萌え。

腰なんか骨が綺麗に浮き出していて店長の癖に色気を感じさせる。薄いくせにしっかりしてそうなその胸板。この体に抱き締められたらどんな感じなんだろう。

いつもは白いワイシャツの下に隠してる本当の店長。私はペタペタと許可なく彼の肌に触れる。


「小野さん!」


大声が更衣室に響き渡り私の体を触っていた手を掴むと店長は自分の体から引き剥がした。あからさまに悲しそうな顔をすると彼は一瞬申し訳なさそうな表情を浮かべた。