「はあ、心臓が止まるかと思った」


私と同じような感想を漏らす店長を指の間から眺める。
確かに考えてみれば私があそこで叫んでしまったら大抵の方は店長の裸を見て、「アルバイトの女子高生を更衣室に連れ込み、猥褻(わいせつ)行為を及んでいたファミレス店長」と勘違いされるだろう。

そう思うと私の口を塞いだ店長の行動は正解だったと言える。


「ごめんなさい。でも凄く吃驚しました」

「お、俺だって吃驚したよ!」

「だって更衣室の電気付いてないし、なのに物音するから泥棒かと思っちゃって」


店長は私の言葉に「なるほど」と納得したように呟く。


「まだ外からの光で明るいし、少しでも節電しようかなって思って電気付けていなかったんだ」


驚かせてごめんねと謝った彼に「大丈夫です」と返すと店長は安心したようにへらりと笑みを浮かべた。
普段からお店の節電の為に行動をしているだなんて、また店長に惚れ直す要素を見つけてしまった。

だけど本当に良かった、泥棒じゃなくて。それに中にいたのも店長じゃなかったら私が痴女扱いされるところだった。


「そういうことだから俺着替えるね。小野さんも早く出てって?」

「……」