もしかしたら過去の店長は優しくなかったのかもしれない。岸本さんが言っていたように、優しくなくて、大人じゃなくて、今の店長のような人じゃなかったのかもしれない。


「お土産ありがとうございます。休憩室に置きましょうか」

「小野さん、なにかあった？」

「いいえ、大丈夫です。店長に会えたので元気いっぱいですよ！」


お土産のお菓子が入った袋を彼から受け取ると休憩室へと脚を向ける。
彼の心配を振り切るように歩き出すと少しずつ肩の力が抜けていくのを感じた。

過去の店長がどんな人であったとしても、今の店長が一番大切なことに変わりはない。
私と出会った店長が今の店長でよかった。そう思うことで抱え込んでいたモヤモヤも晴れていくような気がした。


「（あ、そういえば岸本さんが来たことって伝えておいた方がいいのかな……）」


またお店に来そうな気がしてるけど。