気のせいかな。私が不安に思っているときに限って店長は私の前に現れてくれる気がする。
その度に店長は普段通りの店長で、裏表のない姿でいてくれる。


私は、私の知っている店長のことを信じていいんだよね？


「小野さん、今日もなんか顔色が……」

「優しいですよね、店長」

「え？」

「優しいのが、店長ですよね？」


お店の人みんなにお土産を買ってきてくれる店長が、私と仲直りしようと不器用ながらもオムライスを作ってくれる店長が、他校の男子生徒に絡まれていた私のことを助けてくれた店長が、


「（本当の店長だって……）」


店長の言葉で教えてほしい。


「……なんのことか分からないけど、小野さんたちにはいつだって優しくありたいなって思ってるよ。みんながいてくれるから俺も働けているわけだし」

「……」

「だから小野さんがそう感じてくれているなら、俺は優しくなれているんだなって思うよ」