大丈夫だ、私は店員として普通に接すればいいだけ。そう心に決めて「よし」と気合を入れると注文されたホットコーヒーを乗せてフロアに出た。
テーブルに近付くと岸本さんは物珍しそうに店内を見渡している。
遠くから見ると、本当にファミレスに見合っていない格好をしている。まるで高級レストランに来たのかと勘違いするような佇まいだ。
「お、お待たせしました」
手の震えがソーサーに伝わり、がたがたと食器がぶつかる音が響く。
よし、これで仕事は完了だ。そう直ちにバックヤードへ戻ろうとする私を彼女が引き止めた。
「今日は彼来てるの? いつ仕事が終わるか知ってる?」
「え、えっと……」
やっぱり聞かれた。というか相手が私じゃなくても彼女は店長のことを店員に尋ねただろう。
私は心の中で深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着かせると口を開く。
「今日はその、本社に呼ばれててお店にはいません」
「本社? ああ、彼ここの店長だったっけ? 一日いないの?」
「は、はい。一日いないです……」
「……」
不審な視線を向けられて首の裏に冷や汗を掻く。
テーブルに近付くと岸本さんは物珍しそうに店内を見渡している。
遠くから見ると、本当にファミレスに見合っていない格好をしている。まるで高級レストランに来たのかと勘違いするような佇まいだ。
「お、お待たせしました」
手の震えがソーサーに伝わり、がたがたと食器がぶつかる音が響く。
よし、これで仕事は完了だ。そう直ちにバックヤードへ戻ろうとする私を彼女が引き止めた。
「今日は彼来てるの? いつ仕事が終わるか知ってる?」
「え、えっと……」
やっぱり聞かれた。というか相手が私じゃなくても彼女は店長のことを店員に尋ねただろう。
私は心の中で深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着かせると口を開く。
「今日はその、本社に呼ばれててお店にはいません」
「本社? ああ、彼ここの店長だったっけ? 一日いないの?」
「は、はい。一日いないです……」
「……」
不審な視線を向けられて首の裏に冷や汗を掻く。