「お待たせしました。ご注文お決まりでしょうか?」
指示された五番テーブルに向かうと座っていたお客様に声を掛ける。
この時間帯に女性一人の来店は珍しいなと眺めていると、メニュー表から顔を上げたその人の顔を見て、
顔が止まった。
「コーヒーを、ホットで」
あの人だ。店の裏口で店長の事を待っていたあの女性だ。
「(岸本恵……)」
思わずフリーズしてしまっている私に対して不思議に思ったのか、彼女がこちらを凝視してきたので焦りを覚える。
注文を聞いてすぐに下がろうとかろうじて指を動かしたところで彼女が「あら」と呟く。
「あなた、このあいだの子? 店の服着るとだいぶ印象変わるのね」
「っ……」
真っ赤に染まった彼女の唇が弧を描くようにして歪む。
喉から絞り出すようにして「ホットコーヒーですね」と注文を繰り返すとハンディに入力をする。
指示された五番テーブルに向かうと座っていたお客様に声を掛ける。
この時間帯に女性一人の来店は珍しいなと眺めていると、メニュー表から顔を上げたその人の顔を見て、
顔が止まった。
「コーヒーを、ホットで」
あの人だ。店の裏口で店長の事を待っていたあの女性だ。
「(岸本恵……)」
思わずフリーズしてしまっている私に対して不思議に思ったのか、彼女がこちらを凝視してきたので焦りを覚える。
注文を聞いてすぐに下がろうとかろうじて指を動かしたところで彼女が「あら」と呟く。
「あなた、このあいだの子? 店の服着るとだいぶ印象変わるのね」
「っ……」
真っ赤に染まった彼女の唇が弧を描くようにして歪む。
喉から絞り出すようにして「ホットコーヒーですね」と注文を繰り返すとハンディに入力をする。