ジョイストに到着した私は普段通り裏口からお店に入ろうとする。
裏口を通るために駐車場を通り抜けようとしたそのとき、視界に見慣れない人影を映った。
「(あれは……)」
ファミレスの駐車場に似つかない大きなサングラスに高いピンヒール。唇に塗られている真っ赤な紅が茶髪のロングヘアーにきれいに映えている。
お客さんだろうか。だとしたらなぜお店の中に入ろうとしないのだろう。お店の裏口の前で突っ立ってスマホを触っているその女性の存在感に思わず圧倒される。
シフトの時間が近づいてきていることに気付いた私が慌てて裏口を通ろうとしたとき、
「ちょっと、いい?」
突然その女性に引き止められた。
「え……」
「このお店の店員さん?」
サングラス越しだからか表情が分からない女性の声に思わず怯えてしまう。声色から二十代後半のような気がする。だけど存在感というか威圧感が同じ世代の店長と大違いだ。
「そ、そうです。えっと、なにかありましたか?」
「このお店って、何時閉店なの?」
「閉店? 閉店っていうか、二十四時間営業ですけど……」
「一日営業してるの? そんなお店もあるのね」
あるのね、って。ファミレスって大体そういうものだと思うけど。
だけどよく見てみたらこの人が身につけてる腕時計やネックレスなど、詳しくないから分からないけれどものすごく高価なものに見える。それにこのファミレスに似合わない風貌から見ても、あまり平凡な暮らしをしているようには見えない。
彼女は「そうねえ」と人差し指を口元に置いた。そろそろお店の中に入ってもいいだろうか。
失礼します、とその場をあとにしようとしたのだが、再び彼女に引き止められてしまった。
裏口を通るために駐車場を通り抜けようとしたそのとき、視界に見慣れない人影を映った。
「(あれは……)」
ファミレスの駐車場に似つかない大きなサングラスに高いピンヒール。唇に塗られている真っ赤な紅が茶髪のロングヘアーにきれいに映えている。
お客さんだろうか。だとしたらなぜお店の中に入ろうとしないのだろう。お店の裏口の前で突っ立ってスマホを触っているその女性の存在感に思わず圧倒される。
シフトの時間が近づいてきていることに気付いた私が慌てて裏口を通ろうとしたとき、
「ちょっと、いい?」
突然その女性に引き止められた。
「え……」
「このお店の店員さん?」
サングラス越しだからか表情が分からない女性の声に思わず怯えてしまう。声色から二十代後半のような気がする。だけど存在感というか威圧感が同じ世代の店長と大違いだ。
「そ、そうです。えっと、なにかありましたか?」
「このお店って、何時閉店なの?」
「閉店? 閉店っていうか、二十四時間営業ですけど……」
「一日営業してるの? そんなお店もあるのね」
あるのね、って。ファミレスって大体そういうものだと思うけど。
だけどよく見てみたらこの人が身につけてる腕時計やネックレスなど、詳しくないから分からないけれどものすごく高価なものに見える。それにこのファミレスに似合わない風貌から見ても、あまり平凡な暮らしをしているようには見えない。
彼女は「そうねえ」と人差し指を口元に置いた。そろそろお店の中に入ってもいいだろうか。
失礼します、とその場をあとにしようとしたのだが、再び彼女に引き止められてしまった。