「桐谷先輩お疲れ様です! それってもしかして、来月の新メニューですか?」
「あぁ、そうだけど」
瑞希ちゃんが興味津々にテーブルへ駆け寄る。私も背後から新しいメニューが記された紙を確認した。
「きのこのリゾットかー、秋ですねー。あ、モンブランパフェ! これ絶対おいしいやつ!」
「八月が終わったらすぐに秋メニューとか。忙しないよな」
「秋好きですよー。ご飯美味しいですもん。来月のまかない絶対パフェにしよっと」
「おい、俺に作らせるつもりだろ」
作らないぞ、と呆れたように言う桐谷先輩のことをスルーして瑞希ちゃんがこちらを振り返った。
「しーちゃんも。食べたいものがあったら桐谷先輩に頼んでね。なんでも作ってくれるよ」
「え……」
「おい、作らないって言ってんだろ」
耳付いてるのかと桐谷先輩に睨まれても気にしていない瑞希ちゃんの言葉に言葉が詰まった。
瑞希ちゃんがそう言ってくれるのは私をこの店に馴染ませたいからだろう。その気持ちはもちろん嬉しいし、素直に受け入れたい気持ちはあるのだが。
だけど……
「わ、私来月はもう……」
もうこの店には……
「え、しーちゃんって今月で辞めるんだっけ?」
「う、うん。一応」
「そんなあ……」
私の言葉を聞いて予想以上に悲しそうな表情を浮かべる彼女に罪悪感は湧き上がる。
いつかは言わないとと思っていたけれど、瑞希ちゃんを前にするとなかなか言えなかった。
「あぁ、そうだけど」
瑞希ちゃんが興味津々にテーブルへ駆け寄る。私も背後から新しいメニューが記された紙を確認した。
「きのこのリゾットかー、秋ですねー。あ、モンブランパフェ! これ絶対おいしいやつ!」
「八月が終わったらすぐに秋メニューとか。忙しないよな」
「秋好きですよー。ご飯美味しいですもん。来月のまかない絶対パフェにしよっと」
「おい、俺に作らせるつもりだろ」
作らないぞ、と呆れたように言う桐谷先輩のことをスルーして瑞希ちゃんがこちらを振り返った。
「しーちゃんも。食べたいものがあったら桐谷先輩に頼んでね。なんでも作ってくれるよ」
「え……」
「おい、作らないって言ってんだろ」
耳付いてるのかと桐谷先輩に睨まれても気にしていない瑞希ちゃんの言葉に言葉が詰まった。
瑞希ちゃんがそう言ってくれるのは私をこの店に馴染ませたいからだろう。その気持ちはもちろん嬉しいし、素直に受け入れたい気持ちはあるのだが。
だけど……
「わ、私来月はもう……」
もうこの店には……
「え、しーちゃんって今月で辞めるんだっけ?」
「う、うん。一応」
「そんなあ……」
私の言葉を聞いて予想以上に悲しそうな表情を浮かべる彼女に罪悪感は湧き上がる。
いつかは言わないとと思っていたけれど、瑞希ちゃんを前にするとなかなか言えなかった。