そう思っていたのに、
「店長がどこにもいない!!」
どうして私がシフトに入ったときにタイミングよく店長も消えてしまうのだろうか。
仕方がない、勤務時間になるまで畠山さんについて詳しそうな人に彼女の印象を尋ねてみよう。
「花宮さん! 聞きたいことがあるんですけど、マネージャーの畠山さんってどんな人ですか?」
「えー、畠山さんー?」
更衣室から制服に着替えて出てきたところを捕まえ、そう問い質すと花宮さんは面倒くさそうに答えてくれた。
「畠山さん……大人って感じかなー」
「大人ですか……歳っていくつぐらいなんですか?」
「えっと、確か店長とあんまり変わらなかったような……一個上くらい?」
「と、年上……」
大人で店長よりも年上、彼女の言葉を頼りに畠山さんの姿を想像してみる。
駄目だ、どう想像してもグラマラスでスタイルのいい女性が店長のことを誘惑している姿しか思い浮かばない。
このままじゃ店長が大人の女性にたぶらかされてしまう。
「そ、そうですか……大人……」
「畠山さんなら私よりも桐谷の方が詳しいんじゃない? 流石にプライベートまではよく知らないし」
「桐谷先輩は知ってるんですか?」
「なんとなくだけど桐谷がよく頼っているイメージはあるかな。まあ、店長よりしっかりしているし、頼りたくなるのも分からなくはないでしょ」
花宮さんも相当畠山さんのことを買っているように見える。それだけ頼りになる女性だということだろう。
それにいつも素っ気ないあの桐谷先輩でさえなついているとは……畠山さん、侮れない。
今日は桐谷先輩もシフトに入っている、丁度いいから話を聞きに行こう。