光里の言葉も私は耳を疑った。私が知らないところで一体何が行われているというのか。というか仕組まれているって、誰がそんなことを。
「つまり店長は瑞希とそのマネージャーを会わせたくないのよ」
「え、どうしてそんなこと」
「それはそのマネージャーとなにかあるからじゃないの? 店長、マネージャーさんについてなにか話していたりした?」
彼女たちの言葉に店長が畠山さんについて話していたときのことを思い返してみる。
店長と花宮さんが話しているところしか見られていないけど、どこか元気がなさそうに思えた。
あのときはてっきりその畠山さんのことが苦手なのだと思っていたが、違うことが気がかりだったのだろうか。
「確かにいつもの調子じゃなかったような気がする……」
「だけど光里の言い方だと、瑞希と会わせたくないってことは明らかにアレだよね」
「アレ?」
察しの悪い私に二人は「もー」と深い溜め息を吐きだした。
「つまり私たちの見解では、店長とそのマネージャーさんは元恋人同士だと見た」
「は、は!?」
店長とマネージャーが、元恋人!?
「な、ななな、なな……」
「瑞希が泡吹き出しそうになってるけど」
「刺激が強すぎたか」
全然その可能性を考えていなかった。確かに店長とマネージャーって凄く距離が近い役職だよね。
もし畠山さんが店長と歳の近い女性だとしたら、私が知らないところでそんなことがあってもおかしくないかもしれない。
店長からしたら私と畠山さんが顔を合わせるのは、今カノと元カノが鉢合わせしているのも同然だ。彼ならきっとその修羅場と遭遇するのは嫌だろう。
店長に元カノ……いないわけはないとは思っていたけれど、こんなに近いところにいたとは……
「なーんて、冗談冗談」
「いやこれ……完全に信じ切っちゃってるような気がするんだけど」
明日、絶対に店長本人に問い詰めたければ。