二人の言う通り、夏休みは全てバイトに費やすつもりで宿題などは全て始まってすぐに終わらせてしまった。
平日学校に行っているときはなかなかバイトに行けないし、できれば毎日シフトに入りたいとさえも思っていたけれど、まさかそれすらままならないとは。


「よし、今度宿題持って私の家遊びにきて」

「どうせ答え映すだけでしょ？」

「瑞希ってこんな見た目して頭いいとか本当バグだよね」

「私の成績はバグじゃなくて正当だよ」


相変わらずの二人に溜息を漏らしていると、光里が「それでさ」と、


「私はその人が怪しいと思うよ」

「え？」

「あぁ、瑞希が言ってたやつ？」


二人の会話についていけていない私は首を傾げると「ほら、シフト入れないって言ってたやつ」と彩葉が親切に教えてくれた。


「あ、あぁ……でもその人って誰？」

「瑞希はさらっと流してたけど最近戻ってきたっていうマネージャーのことじゃない？」」


そういえばバイトの愚痴を聞いてもらっていたとき、そんな話もしたかもしれない。
だけどマネージャーである畠山さんが店に戻ってきたことと私がシフトに入れなくなったこと、その二つに何の関係性があるのだろう。


「瑞希、そのマネージャーが店に戻ってきてから会ったことある？」

「な、ないけど。私が入るとき、たまたま向こうがお休みのことが多くてまだ挨拶もできていないんだよね？」

「それ、絶対仕組まれてると思う」

「し、仕組み？」