でも花宮さんの言うように年齢が離れているということだけで人を見る目って変わる。私はそれに対してあまり偏見がないから店長のことを心の底から格好いいと思えるのかもしれない。
その偏見があったら一回りも離れている店長のことを好きになってりしないだろうし。


「はい、小野は老け専確定~」

「え~、店長に対してだけですよ~」


私がそう口を膨らますと彼女は「言っとけ」と席を離れて休憩室を出ていこうとする。
やっぱり私ってほかの人と変わってるのかな。


「あれ、そんなところで何してるんですか? 店長」


花宮さんの声で顔を上げると彼女は休憩室のドアを開けて外にいる人に呼び掛けた。
暫くして少し気まずそうな表情で店長が顔を覗かせた。


「ご、ごめん。邪魔だったよね。ちょっと取りたいものがあって」

「それならさっさと入ってきてくださいよ。不審者じゃあるまいし」

「花宮さん、今日も俺に対して厳しいね」


別にいいんだけどね、と休憩室に入ってきた店長と目が合う。
彼は私のことを見ると何故かははっと困ったように笑って目をあさっての方向へと動かした。

なんか、少し様子がおかしい気が。


「そういえば店長、パートの方に聞いたんですけど畠山さん今度帰ってくるみたいですね」


そう花宮さんの口から飛び出した聞きなれない名前に首を傾げた。


「ああ、花宮さんも知ってるんだ。そうだよ、よかったら花宮さんも話聞いてあげてくれないかな」

「それはいいですけど、随分久しぶりですよね」

「あの人も忙しいからね」


あったあった、と店長が休憩室の棚から電子機器のコードを手に取る。
そして「小野さんはまだ休憩?」と私に声をかけてきたので素直に頷いてみせた。


「そっか、頑張ってね。俺ちょっとお店離れるからよろしく」

「は、はい」


いつもよりも元気なさげな店長の背中を見送ると入り口近くに立っている花宮さんに話しかけた。