私の好みはいつも人とは変わっているらしい。


「私ってやっぱり老け専なんでしょうか?」


バイトの休憩中、何気なく吐いた言葉に注目が集まる。


「どうしたの急に」

「いや、今日夏期講習で友達と会ったんですけど、なかなか会話についていけなくて。いつも男性アイドルの話とかしてるんですけど、私そういうのよく分かんないし」


彩葉と光里にアイドル雑誌などを見せてもらう機会はあれど、あまり魅力的だと思う人に出会ったことがない。というか顔だけなら桐谷先輩や高野兄弟の方が上のような気さえしてくる。
それでも私にとって一番魅力的に映る男性は店長以外ありえないのだけど。


「老け専って言っても店長まだギリ二十代だけどね」


私の話を聞いていた花宮さんが溜息交じりに呟く。それもそうだ、店長はまだ世間的に見たらまだ若い世代のはず。そんな彼を老けていると思うのは彼に失礼な気がする。


「まあでも、もし店長が歳を取っても好きっていうなら話は別だろうけど」

「歳ですか……」

「例えば店長が四十とか五十とかだったらどうなの」

「……」


四十歳以上の店長の姿かあ……私は顎に手を当てて思い浮かべてみる。
男の人って年取れば取るほど色気が増すというか、魅力的になっていくと思う。今でさえ格好いい店長が年を取って見た目が劣化するとは思えない。


「それは……もう凄く格好いいと思います」

「……間違いなく老け専だね」

「え!? そうなんですか?」

「流石にそんなに年齢が上の人、好意的に見れないわ」