そう呼びかけると紅先輩はようやく意を決したのか、「よし」と両手で頰を叩くと気合を入れて元にいた場所に蒼先輩と二人で戻っていく。
私はそんな二人の背中を見つめながら紅先輩の恋が上手くいくことを願いつつ、遠くから見守るためにあとについていった。
「あ、蒼くん! どこ行ってたの……って」
元の場所に戻ると紅先輩の彼女さん、茅乃さんは帰ってきた紅先輩とその隣にいる蒼先輩に混乱した様子だった。
それもそうだ、いきなり彼氏と瓜二つの人が現れたら吃驚するだろう。
彼女は二人の顔を今後に見比べると「えーと、」と動揺したように表情を曇らせる。
そして彼女が何かを言う前に紅先輩が口を開く。
「茅乃、ずっと騙しててごめん。俺、実は蒼じゃないんだ」
「え?」
「お前が好きになった蒼はこっちで、お前が告白して付き合ってたのは弟の俺なんだ」
茅乃さんは紅先輩の言葉になんと言っていいのか分からず、真剣に話す彼をただジッと見つめていた。
「本当はもっと早く言うべきだった。だけどお前と一緒にいるのが楽しくて、本当のことを言うとお前はもう俺と会ってくれないかと思った」
「……」
「……ごめん、だけど俺は、俺はお前のことが好きなんだ!」
人を好きになるって、それだけで自分の世界が広がるんだ。
今までずっと物事を諦めていたけれど、だけど人を好きになれてその人と一緒に居たいから行動に出て、自分にこんな一面があったことを知る。
紅先輩も人を騙すような人じゃない。好きと言う気持ちが彼を動かした。
好きって偉大だ。
「(店長に会いたいな……)」
私は彼らのことを見守りながら、そんな気持ちに駆り立てられていた。
私はそんな二人の背中を見つめながら紅先輩の恋が上手くいくことを願いつつ、遠くから見守るためにあとについていった。
「あ、蒼くん! どこ行ってたの……って」
元の場所に戻ると紅先輩の彼女さん、茅乃さんは帰ってきた紅先輩とその隣にいる蒼先輩に混乱した様子だった。
それもそうだ、いきなり彼氏と瓜二つの人が現れたら吃驚するだろう。
彼女は二人の顔を今後に見比べると「えーと、」と動揺したように表情を曇らせる。
そして彼女が何かを言う前に紅先輩が口を開く。
「茅乃、ずっと騙しててごめん。俺、実は蒼じゃないんだ」
「え?」
「お前が好きになった蒼はこっちで、お前が告白して付き合ってたのは弟の俺なんだ」
茅乃さんは紅先輩の言葉になんと言っていいのか分からず、真剣に話す彼をただジッと見つめていた。
「本当はもっと早く言うべきだった。だけどお前と一緒にいるのが楽しくて、本当のことを言うとお前はもう俺と会ってくれないかと思った」
「……」
「……ごめん、だけど俺は、俺はお前のことが好きなんだ!」
人を好きになるって、それだけで自分の世界が広がるんだ。
今までずっと物事を諦めていたけれど、だけど人を好きになれてその人と一緒に居たいから行動に出て、自分にこんな一面があったことを知る。
紅先輩も人を騙すような人じゃない。好きと言う気持ちが彼を動かした。
好きって偉大だ。
「(店長に会いたいな……)」
私は彼らのことを見守りながら、そんな気持ちに駆り立てられていた。