「あのさ、私と一緒にいたいのは分かるけどさ〜」
煮え切らない太田にそう説得しようとすると私は後ろに人の気配を感じる。
振り返る前に「小野さん?」と声を掛けられてその人が店長であることに気が付く。
「良かった、小麦粉見つかったんだね」
そう言って近付いてくる店長の視線は私から私の腕を掴んでいる太田に移った。
さ、最悪だ。店長に太田と一緒にいるところを目撃されてしまうなんて。
「えっとこれは……」
言い訳出来ない場面を見られてしまった私はどうやって店長の誤解を解こうかとひたすらに頭を回転させる。
しかしその前に太田がパッと私から手を離して店長の方に向き直した。ま、まさかコイツ店長に向かって何か変なことを言うつもりなんじゃ……
と、
「初めまして、瑞希と同級生の太田裕です」
「え、あ……はい、どうも」
そう言って突然頭を下げた太田に面食らった店長が遅れてペコペコと頭を下げる。
いきなり態度を諦めた太田に長い付き合いである私も頭が混乱する。
「えっと、小野さんの友達だったんだね」
「違います! 断じて違います!」
「え、そうなの?」
「はい、俺はただ瑞希のことが好きなだけです!」
「ぎゃー! アンタ何言ってんの!?」
空気が読めない男だとは思っていたけどまさかここまでとは!
店長が私の想い人だとは考えにもないのか、太田は姿勢を正してキビキビと話す。
「いつも瑞希がバイトでお世話になっています」
「え、あ、うん……こちらこそ」
「アンタは私の保護者か!」
「友人のバイト先の人なんだから敬意を払うのは当たり前のことだろ」
その敬意の払い方がどう考えてもおかしいと思うのだが。しかし太田はこれを真面目にやっているのだから怖い話だ。
昔から変な方向に一直線というか、変わっているというか、全て無自覚なのだから手のつけようがないのだ。
煮え切らない太田にそう説得しようとすると私は後ろに人の気配を感じる。
振り返る前に「小野さん?」と声を掛けられてその人が店長であることに気が付く。
「良かった、小麦粉見つかったんだね」
そう言って近付いてくる店長の視線は私から私の腕を掴んでいる太田に移った。
さ、最悪だ。店長に太田と一緒にいるところを目撃されてしまうなんて。
「えっとこれは……」
言い訳出来ない場面を見られてしまった私はどうやって店長の誤解を解こうかとひたすらに頭を回転させる。
しかしその前に太田がパッと私から手を離して店長の方に向き直した。ま、まさかコイツ店長に向かって何か変なことを言うつもりなんじゃ……
と、
「初めまして、瑞希と同級生の太田裕です」
「え、あ……はい、どうも」
そう言って突然頭を下げた太田に面食らった店長が遅れてペコペコと頭を下げる。
いきなり態度を諦めた太田に長い付き合いである私も頭が混乱する。
「えっと、小野さんの友達だったんだね」
「違います! 断じて違います!」
「え、そうなの?」
「はい、俺はただ瑞希のことが好きなだけです!」
「ぎゃー! アンタ何言ってんの!?」
空気が読めない男だとは思っていたけどまさかここまでとは!
店長が私の想い人だとは考えにもないのか、太田は姿勢を正してキビキビと話す。
「いつも瑞希がバイトでお世話になっています」
「え、あ、うん……こちらこそ」
「アンタは私の保護者か!」
「友人のバイト先の人なんだから敬意を払うのは当たり前のことだろ」
その敬意の払い方がどう考えてもおかしいと思うのだが。しかし太田はこれを真面目にやっているのだから怖い話だ。
昔から変な方向に一直線というか、変わっているというか、全て無自覚なのだから手のつけようがないのだ。