そうだ! 全部店長が悪いんだ! 店長が何もを言っても受け止めてくれるから、私は自分の気持ちを押し付けるような人間になってしまった。
店長の前だけは、いつもの自分を出したくはない。重くて暗い子だって思われたくないから。

嫌われたくない。


「小野さんは間違ってないよ」


そう言って私の頭に手を置く店長の手つきは柔く温かい。


「大丈夫、高野くんにも小野さんの気持ちは伝わってると思う」

「店長……」

「俺はいつでも小野さんの味方だから」


だから安心して、と今まで以上に優しい声色で囁かれる。
その温かい手のひらで撫でられると私は変に期待してしまいそうであえて目を離す。
これ以上彼を見ていたら、好きという気持ちが溢れてどうにかなりそうだ。


「店長に好きって言われちゃった……」

「え!? そこまで言ってないよ?!」

「結婚しよって言われちゃった〜」

「言ってない!!」


言ってないです!と全力で首を横に振る彼に私はようやく心からケラケラと笑うことが出来た。
店長といると不思議、自然と笑顔が出てくる。店長の出す空気とか、そういうのなのかな。


「(味方、か……)」


好きでいてもらってなくても、嬉しいな。

久々の店長に思い存分癒しを充電していたところで、再びガチャリと休憩室の扉が開く。