暫くして花宮さんと交代で休憩に入る。一応事務室を覗いたが店長の姿がなかった。どこに行ってしまったんだろう。
店長がいない=エネルギー源がない。これからの仕事にも支障をきたしてしまう。

私はしょぼんとしながらも休憩室に入った。


「あ、」

「……」


先客がいた。桐谷先輩は私の顔を見るなり少し怪訝そうな顔をして席を外そうとした。が、私はそれを必死に押さえる。


「ど、どこ行くんですか! そんなに私といるのが嫌なんですか!」

「嫌」

「酷い! ハッキリ言うの酷い! 何もしないんでここにいてください!」


珈琲入れてあげますから!、と必死に説得をすると観念したのかもう一度彼は席についた。
私は彼の分のコーヒーも作るために置かれている珈琲メーカーに手を付けた。因みにこの珈琲メーカーは店長の私物らしい。

どうしてこうも嫌われているのか、私には身に覚えがない。
私は目の前で注がれる茶色い液体を眺めながら不満げな表情を浮かべた。

お待たせしました、と接客さながらに彼の目の前に置くと小さく「どうも」と短くお礼を言われた。
何故かそれが嬉しくて店長に会えなかった分のテンションが回復し、私は彼の向かいの席に座ると嬉々として話しかけた。