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久々にやってきた彼のバイト先は時間帯的に少し混んでいて今入っても迷惑かもしれないという感情が浮かんだのだが、ちょっとお茶をくらいならとその扉を開けた。
「いらっしゃいませー……あ!」
「え?」
やってきた店員さんが私の顔を見た瞬間に声を上げたので困惑しているとジーッと顔を見つめられた。
「え、えっと何か……」
「あ、いや! なんでもないです! お一人様ですか?」
「は、はい」
初めて見る店員さんだな。若いし可愛い。あ、でも名札に「小野」って書いいてる。小野さん、たまに桐谷くんの会話に出てくる名前だ。
とても生意気な後輩が出来たと何度か名前を出していた。だけど想像していたよりも可愛らしくて、そして頭が良さそうだ。
そんな彼女に席を案内されて座ると再びまた顔を見つめられる。
も、もしかして桐谷くんの彼女だってバレてる!? なんで!?
「もしかしてお店に彼氏さんとかいます?」
「えっ、」
「あ、いや何でもないです〜。ご注文ございましたらボタンでお知らせくださいませ」
失礼しますと下がった彼女に「やっぱりバレてる」と顔をかしめた。
でもどうして、初めて会ったのに。桐谷くんは私の写真を誰かに見せるような人じゃないと思う。
と、なると私の顔に出ていた?
「(は、恥ずかしい〜!)」
凄く居づらい。だけど桐谷くんのバイトが終わるまで暇だし、ここで待ってようと思っていたのだ。
桐谷くんは厨房担当だから顔は見られないけど連絡を入れておけば帰るときに気が付いてくれると思う。