「(び、吃驚した……)」


なんで私、こんなに意識してるんだろう。これじゃいつもと立場が正反対じゃないか。

そんな自分が恥ずかしくて出来上がった二つのパフェをトレイに乗せると「だ、出してきます!」と彼の側を離れようとする。
後ろから「小野さん!?」と彼の私の名前を呼ぶ声が聞こえたが無視して赤い顔のままフロアに出た。


「(だからこういうところだってば!)」


店長は本当に狡い大人だ。





「(普段は小野さんからぐいぐい来るのになあ。狡いな、小野さん……)」


お互い同じ思いを抱えていることに気付いていない二人だった。