今日はちょっと大忙しです。


「え、フロアが足りない?」


私の言葉に店長が困ったように溜め息を吐いた。


「そうなんだよ。パートの大山さんの娘さんが熱出しちゃったみたいで急に来れなくなったんだ。慌てて他のアルバイトの子にも声をかけたんだけど今日は用事があるみたいで」

「それで私が呼ばれたんですね」

「ごめんね、だけど小野さんが来てくれたのは嬉しいんだけどそれでもちょっとキツくて。小野さんがいなかったら宇佐美さん一人だったんだよね」

「しーちゃん一人!?」


そんなまだバイト入りたてのしーちゃんが一人じゃ、平日だとしても夏休み中のフロアを回せるとは思えない。私も今日は光里たちとプールに行く予定だったが急遽中止になってしまって暇していたから良かったけど。
店長に呼び出されて慌ててやってきた私は店長から事情を聞いて更衣室へと入った。早くフロア手伝わないとしーちゃんまだ男の人の相手とか怖がっているのに可哀想だ。

制服に着替えタイムカードを押すとフロアへと続く廊下を早足で歩く。すると丁度厨房から桐谷先輩が出てくるのが見えた。


「あれ、今日小野シフト入ってた?」

「実はフロアの人数が足りなくて急遽入ることになりました」

「あー、確かにさっきから宇佐美ばっか来ると思った」


でも私もまだバイトを始めて半年も経っていないし、そんな私としーちゃん二人で一日回すことが出来るのだろうか。
今日忙しくなるかもだけどよろしく、と彼に言われてハッと我に返ると「はい!」と元気よく返事をした。