が、そこで蒼先輩が何かに気が付き、「ちょっと待って」と、
「あそこにいるの……」
「え?」
蒼先輩が指を差す先に暗闇の中しーちゃんの後ろ姿を見つめている影が一つ。
全身真っ黒で黒のパーカーを頭に被ったその人物はいつからそこにいたのだろうか。
あんなにあからさまに「怪しい」って格好の人、初めて見た。
「ほ、本当にいた! 変質者だ!」
「いや、まだそうと決まったわけでは」
「お前、あれ見て変態じゃないって思うのかよ」
どっからどう見ても変態だろうが!、と声を上げる紅先輩を再び二人で押さえ込む。ここでバレたら逃げられてしまう。
紅先輩は犯人を追いかける時に役に立つであろう。だからそれまで私たちの場所がバレるわけにはいかなかった。
「とにかく警察に連絡しましょう。それから……」
「まずしーちゃんを安全なところに移動させましょう。私が行きます」
「えっ、小野さん!?」
慌ててしーちゃんのところへ駆け寄ろうとする私に影から見つめていたその黒尽くめの男は自分の方へとやってくると勘違いしたのか、いきなり反対方向へと走り出してしまった。
運良くしーちゃんの方へ行かなかったことは良かったのだが、このままでは逃げられてしまう。私は慌てて方向転換をするとその男の背中を追った。
「紅先輩! 一緒にあの人追ってください!」
「小野さん!?」
「蒼先輩はしーちゃんのところに!」
紅先輩は「仕方ねぇな」と気だるそうに立ち上がるとその様子からは信じられない速さで私を追い抜き、不審者の背中を追った。
しかし男も若い年齢なのか、なかなか追いつくことは出来ない。
どうしよう、このまま逃げられたら……
そう思っていると目の前のコンビニから見覚えのある女性が出てくるのが見えた。
「花宮さん!?」
「あそこにいるの……」
「え?」
蒼先輩が指を差す先に暗闇の中しーちゃんの後ろ姿を見つめている影が一つ。
全身真っ黒で黒のパーカーを頭に被ったその人物はいつからそこにいたのだろうか。
あんなにあからさまに「怪しい」って格好の人、初めて見た。
「ほ、本当にいた! 変質者だ!」
「いや、まだそうと決まったわけでは」
「お前、あれ見て変態じゃないって思うのかよ」
どっからどう見ても変態だろうが!、と声を上げる紅先輩を再び二人で押さえ込む。ここでバレたら逃げられてしまう。
紅先輩は犯人を追いかける時に役に立つであろう。だからそれまで私たちの場所がバレるわけにはいかなかった。
「とにかく警察に連絡しましょう。それから……」
「まずしーちゃんを安全なところに移動させましょう。私が行きます」
「えっ、小野さん!?」
慌ててしーちゃんのところへ駆け寄ろうとする私に影から見つめていたその黒尽くめの男は自分の方へとやってくると勘違いしたのか、いきなり反対方向へと走り出してしまった。
運良くしーちゃんの方へ行かなかったことは良かったのだが、このままでは逃げられてしまう。私は慌てて方向転換をするとその男の背中を追った。
「紅先輩! 一緒にあの人追ってください!」
「小野さん!?」
「蒼先輩はしーちゃんのところに!」
紅先輩は「仕方ねぇな」と気だるそうに立ち上がるとその様子からは信じられない速さで私を追い抜き、不審者の背中を追った。
しかし男も若い年齢なのか、なかなか追いつくことは出来ない。
どうしよう、このまま逃げられたら……
そう思っていると目の前のコンビニから見覚えのある女性が出てくるのが見えた。
「花宮さん!?」