そんなことに俺らを巻き込むな!、と紅先輩の怒号が立ち込めたが私は耳も貸さずにしーちゃんの手を握る。


「だから任せて! しーちゃんは私が守るからね」

「瑞希ちゃん……」

「まぁ、何はともあれ、俺たちも側に付いていた方が安心ですし駅まで一緒に帰りましょう」

「ですね!」


何とか紅先輩のことも納得させると私たちは四人で駅まで帰ることになった。
しかし一応不審者の存在も確認しておきたい、というわけで……


「大丈夫ですか、あれ。宇佐美さん震えてません?」

「普通にしててって言ったのに〜。そう言った方が緊張しちゃうのかな」

「ワハハッ! アイツ! 犬みてぇじゃねぇか!」

「「煩い」」


両側から紅先輩のことを押さえ込みながら私たちは目の前を歩くしーちゃんに視線を向ける。
こうして彼女の後を追っていれば不審者の存在にも気が付けるのではないかと踏んだのだが、その意図を知っているしーちゃんは後ろにいる私たちが気になって歩くのもままならない。


「私が隣についていた方が良かったかもしれませんね」

「確かに宇佐美さんには荷が重かったかも」

「それに不審者っぽい人なかなか現れないし。逆に周りから見たら私たちの方が不審者っぽくないですか?」

「その時は紅を置いて逃げましょう。犠牲は一人でいい」

「蒼先輩、相変わらず揺るぎないですね」


もう少しで駅だし、このまま捨てられた子犬のような目でこちらを見てくるしーちゃんを一人にしているのも心苦しくなってきたので彼女の戻ろうとする。