「と、いうわけでしーちゃんを不審者から守りたいと思います!」


仕事が終わり、帰ろうとするしーちゃんと高野兄弟を引き止めた私は三人の前で仁王立ちでそう告げた。
しーちゃんと蒼先輩は私の言葉にポカンと口を開けていたが、紅先輩だけは相変わらず高圧的な態度で、


「はぁ? いきなりなんだよ。こっちは疲れてるんだから帰らせろよ」

「しーちゃんの一大事なんだからそんなこと言わないでくださいよ!」

「一大事?」


蒼先輩はそう呟いてしーちゃんの方を見るが、しーちゃんはブルブルと頭を左右に振る。


「そ、そんな私ごときの問題でお二人までも巻き込むなんて。こんなチビで変な声で意気地なしな私のせいで大事なお時間を奪うなんて、今すぐ海に沈んで詫びなければ」

「しーちゃん、誰もそんなこと言ってない」

「何か困ってることがあるんですか? 良かったらお話聞かせてください」


紅先輩と違って理解のある蒼先輩に私は「実は」としーちゃんが抱えている問題について彼女からの了承を得ると説明した。
なぜこの二人に説明したかというと帰る時間が丁度同じであったからだ。


「それは大変ですね。取り敢えず店長に相談した方が」

「蒼先輩待って! 今回のことは私が解決しますから」

「小野さんが?」


どうして、と首を傾げる彼に私の思惑について語り始める。


「私、頼り甲斐のある大人の女性を目指すために大人に頼らずしーちゃんのことを救ってあげたいんです」


そして、


『小野さん、不審者から宇佐美さんを守るなんて君はなんて強い女性なんだ! 小野さんがこんなに大人になっているなんて知らなかったよ。今からじゃ遅いかもしれないけど、君に求婚してもいいかな?』


って感じにヘタレな店長は私にメロメロに……


「なったりして! なったりして!!」

「目的が不純すぎだろうが」