「み、瑞希ちゃん!」

「あはは、だってしーちゃん元気無いから。そんなに不審者のことが怖いの?」

「……」


白い肌を隠すようにしゃがみ込んでいた彼女はおずおずと立ち上がると私の目の前に立った。

そして、


「実は……」

「実は?」

「……ここに来る途中、誰かに付けられてる気がするの」


それを聞いた瞬間、私は更衣室に響き渡るほどに「うそぉ!?」と声を荒げた。


「い、いつ!?」

「一人の時とか。たまに瑞希ちゃんといる時も」

「え、私全然そんなの感じなかったよ?」

「瑞希ちゃん、いつもバイト行く時は店長のことで頭がいっぱいだから」


ね、と弱々しく言う彼女に私はブンブンと首を横に振る。


「一大事じゃん! 店長に相談しないと!」

「えぇ、でも忙しいのに悪いなって」

「えー、だけどさぁ。このままだと私だって嫌だよ。今度からしーちゃんが一人で来る時は不安になっちゃうし」

「……」


それなのに彼女は「私の気のせいかも」と笑ったのでそこから後は何も言えなくなってしまった。
そのまま二人でシフトに入ったけれど、私の頭の中は彼女の言った話のことばかりで埋め尽くされていた。