背が高くて優しそうなその人は美人な花宮さんと並ぶとお似合いで、まるで絵に描いたようなカップルのように思えた。
私からそんなことを聞かれることが意外だったのか、彼女は「そうそう」と、


「まあそんな感じのやつ。雫にもいつか彼氏とか出来たらいいね」

「え、」

「その前に色々と乗り越えなきゃいけないこともあるけど」


そう言うと彼女は「じゃあね」と私の頭を撫でて彼氏さんのところへと向かっていった。
彼氏ですかと聞いた時の花宮さんの顔は普段バイト先で見せるような凛々しい顔ではなく、凄く女の子の顔をしていた。

素敵だなぁ。


「(私が恋愛なんて、夢のまた夢だけど)」


だから瑞希ちゃんのことが心底羨ましく思う。

私は本を手に取るとレジへと向かう。まず恋愛の前に花宮さんも言っていたように自分の課題を克服しなきゃ。


「ブックカバーはおつけしますか?」

「お、おねが……い、します……」


小さな声で呟きながらコクコクと首を縦に振ると店員の女性が本にカバーをかけていく。

頑張るぞ。