私は店長の言葉へお店の入り口へと向かう。ふぅ、漸く人がはけてきたところかしら、と一息付いて対お客様スマイルを顔に浮かべる。


「いらっしゃいま……!」


私はその表情のまま固まってしまった。何故ならそこにいたのは太田だったからだ。
私の表情は笑顔から一気に鬼の形相へと変貌する。


「太田、アンタ何しに来たのよ」

「め、飯食いに来たんだよ!」

「ファミレス来てんじゃねぇよ。他の店行け」


さぁ立ち去れ!、と命令するが太田はいかんせん意地が強い為に店から出て行こうとはしなかった。
ていうか一人でよくファミレスに入ってこられたな! その勇気をまた別のところで使ってくれ!


「小野さん、どうかしました?」

「て、店長!」


何か揉めているのを察知したのか、心配で見に来てくれた店長に私は焦る。
いかん、いくら太田が来店したと言ってもこんなに酷い態度をお客さんに採っているところが店長にバレたら嫌われてしまう!

仕方がない、私は再び笑顔を浮かべると、


「い、一名様ですね〜……ご案内しま〜す」

「大丈夫か、しんどそうだぞ」

「(誰のせいだよ!)」


何とか店長にバレずに太田のことを席へと案内することが出来た。くそ、嫌でもこの男にいい態度を取らないといけないなんて屈辱だわ。


「ご注文は決まりましたでしょうか〜……」

「……瑞希のオススメは?」

「んー、水道水でしょうか?」

「表情と言葉がマッチしてないぞ」


それも誰のせいだよ! 遂にキレた私はドンッとそのテーブルを叩く。