その場にいた全員が「え?」と声を漏らす。
「マジか、店長。小野に弱み握られすぎだろ」
「小野さんの泣き落としが効いたんでしょうか」
「泣いてもないし、多分確信犯だけどな」
「そこの外野二人! ちょっと黙っててください!」
私は淡々と話す桐谷先輩と蒼先輩に言うと慌てて男子更衣室のドアに駆け寄った。
「店長、今の言葉本当ですか!?」
「……うん、着るよ。けど、絶対に笑わないでね!? 引きもしないでね!?」
「私はしませんよ!」
「小野さんの後ろの人たちの反応が一番気になるんだよね」
それもそうか、なら私だけが見られるように提案をしようかと思うと「じゃあちょっとだけ待っててね」と早速着替え始めてしまった店長。
うわーん、この扉の奥で店長の生着替えが行われているというのに入れないなんて。例の事件を引き起こした私のせいで鍵が付けられてしまったのだけど。
「蒼先輩の制服、サイズとか大丈夫ですかね」
「店長そんなに身長高くないので大丈夫だと思いますよ。でも足が長いのでズボンの丈は分かりませんが」
「いや、ズボンまでは着替えないでしょ」
しーちゃんを抜いた私たち三人がそう口々に言っていると更衣室の奥から「お、終わったよ!」と声が聞こえてきた。
つ、遂にこの時が来てしまった! 念願の店長の制服姿が!