「店長がそんなこと言うなら、私本当に店長の知らない人と制服デートしてきちゃいますからね! 今更謝ってきても、格好いい制服イケメンを引っ掛けてくるんですから! 店長にはどうでもいいことですもんね!」
「え、ちょっと、小野さん!?」
私はふんっと息を荒げると男子更衣室に背中を向けて休憩室を出て行こうとする。
店長なんかもう知らない! 今まで私に優しくしてくれてたのは何だったんだろう。私のことが少しでも好きじゃないんなら、期待させるようなこと言わないでほしいし、しないでほしい。
「引っ掛けるって、小野じゃ無理だろ」
「そんなことより小野さんが抜けたら今日の仕事どうなるんですかね」
「み、瑞希ちゃん〜……」
傍観者三人はそれぞれ口走り、この後の展開について悩み始める。
もういいもん!、と口元を膨らませながら私は勢いよく休憩室のドアノブを掴んで前に引いた。
その時だった。
「ま、待って! 分かったから!」
更衣室からそんな焦った声が聞こえてきた。