「いや、でもそんなことしたら店長困るんじゃないですか?」

「お願いします! その代わりと言ってはなんですが、例のラブレターの件を私が何とかしましょう」


蒼先輩は女性のお客さんからのラブレター攻撃に悩んでいた。彼をやる気にさせるとしたらその解決策を上げるか、それか双子の弟であるあの男を少しでも鎮める方法を教えるかだろう。


「……本当ですか? そんなこと出来るんでしょうか」

「ええ! 私に一つ良案があります! ここは任せていただけないでしょうか!」

「……」


蒼先輩は私の提案に少しの間悩むと「分かりました」と顔を上げる。


「いつも小野さんには紅のことで迷惑を掛けてしまっていますから、そのお詫びという意味でもそのお手伝いさせていただきます」


誰もが羨む美しい微笑みを浮かべると蒼先輩は男子更衣室へと消えていく。
いやー、蒼先輩は物分かりがいいなぁ。多分桐谷先輩だったら手伝ってはくれなかっただろう。

彼を見送ると様子を伺いながらしーちゃんが近付いてくる。