「私が店長以外の人とデートしても、店長にはどうでもいいことなんですね……」
私は店長が私の知らない女の人と一緒にいたら絶対に嫌な気持ちになる。一日中そのことしか考えられなくなって、それでムカムカして、モヤモヤだってする。
店長にはそれがない。私と同じ気持ちじゃない。分かっていたはずなのに、どうしてこんなに悔しいなんて思うんだろう。
下を向く私に彼の溜息が耳に届く。
「そうだね、俺には関係ないよ。大人だからね」
「大人って何ですか?」
「小野さんにはまだ早いってこと」
どういうことですか、と聞き返そうとするけど彼は私に背中を向けた。
「俺今から着替えるから、更衣室入って来ちゃ駄目だよ」
「着替えるって、クシャクシャなシャツからクシャクシャなシャツに着替えるんですか? それって着替えにならないですよ。ていうか何逃げようとしてるんですか!」
「もう帰るんだよ、少し用事があって。ちょっと急ぐからまた後でね」
何で、そんな冷たい態度取るんですか。私のこと嫌いになった? 私に構うの面倒くさくなったのかな。
彼の背中が更衣室に消えて行くのを睨みながら見送ると「あー!」と声を上げる。
「ムカつくムカつく! いくら何でも酷くないですか!?」
「いや、一部始終見ていた俺から見ても悪いのは小野だと思う」
「なんですって!?」
澄ました顔で珈琲を啜りながらそう呟く桐谷先輩の言葉に私は隣にいたしーちゃんに抱き着いた。
「ねぇねぇねぇ! しーちゃんはどう思う? 今のは店長が悪いと思うよね!」
「え、私!? え、えーと……でもやっぱり店長さん大人の人だから、高校の制服を着るのは難しいかなっていうか……」
「しーちゃんまで!?」
私だって無理だって分かっていたけれど、どうしてだかこの胸のモヤモヤが晴れない。
きっと、あれだ。私は店長が制服を着てくれないことに怒っているんじゃない。店長が私に言った言葉に怒っているんだ。
『あのね、小野さん。もし本当に制服でデートがしたいんなら、学校の男の子とするといい。俺じゃその小野さんの夢は叶えてあげられないんだ』
私は店長が私の知らない女の人と一緒にいたら絶対に嫌な気持ちになる。一日中そのことしか考えられなくなって、それでムカムカして、モヤモヤだってする。
店長にはそれがない。私と同じ気持ちじゃない。分かっていたはずなのに、どうしてこんなに悔しいなんて思うんだろう。
下を向く私に彼の溜息が耳に届く。
「そうだね、俺には関係ないよ。大人だからね」
「大人って何ですか?」
「小野さんにはまだ早いってこと」
どういうことですか、と聞き返そうとするけど彼は私に背中を向けた。
「俺今から着替えるから、更衣室入って来ちゃ駄目だよ」
「着替えるって、クシャクシャなシャツからクシャクシャなシャツに着替えるんですか? それって着替えにならないですよ。ていうか何逃げようとしてるんですか!」
「もう帰るんだよ、少し用事があって。ちょっと急ぐからまた後でね」
何で、そんな冷たい態度取るんですか。私のこと嫌いになった? 私に構うの面倒くさくなったのかな。
彼の背中が更衣室に消えて行くのを睨みながら見送ると「あー!」と声を上げる。
「ムカつくムカつく! いくら何でも酷くないですか!?」
「いや、一部始終見ていた俺から見ても悪いのは小野だと思う」
「なんですって!?」
澄ました顔で珈琲を啜りながらそう呟く桐谷先輩の言葉に私は隣にいたしーちゃんに抱き着いた。
「ねぇねぇねぇ! しーちゃんはどう思う? 今のは店長が悪いと思うよね!」
「え、私!? え、えーと……でもやっぱり店長さん大人の人だから、高校の制服を着るのは難しいかなっていうか……」
「しーちゃんまで!?」
私だって無理だって分かっていたけれど、どうしてだかこの胸のモヤモヤが晴れない。
きっと、あれだ。私は店長が制服を着てくれないことに怒っているんじゃない。店長が私に言った言葉に怒っているんだ。
『あのね、小野さん。もし本当に制服でデートがしたいんなら、学校の男の子とするといい。俺じゃその小野さんの夢は叶えてあげられないんだ』