店長はそう呟きながら休憩室の扉を開いて中に入る。そこには端っこの席で休憩を取っている桐谷先輩がいて、私たち二人が入ってくるなり「わ、五月蝿くなりそう」と顔を歪ませた。


「私、制服でデートをするのがずっと夢だったんです。だって制服でなんて、高校生のうちでしか出来ないから」


その相手が店長だったらどれだけ嬉しいか。好きな人ともデートができて、夢だった制服デートもできて一石二鳥だ。
更衣室の扉の前で足を止めた彼は漸く私の方へと体の向きを変えると少し屈んで私と目線を合わせた。


「あのね、小野さん。もし本当に制服でデートがしたいんなら、学校の男の子とするといい。俺じゃその小野さんの夢は叶えてあげられないんだ」

「……」

「俺ももう少し生まれるのが遅かったら良かったかもね。あぁ、でもそうしたら小野さんとは出会えてないか」


私を気遣う言葉を口にしながら、彼の言葉は珍しく他人行儀で違和感があった。


「どうして、そんなこと言うんですか」


いつもの優しい店長じゃないみたい。


「私が、他の誰かとデートしても店長は何とも思わないんですか!?」

「……」


桐谷先輩の視線がこちらに向けられているのを感じながらも私はそう強く彼に尋ねた。
先に更衣室に入っていたしーちゃんも仕事の制服に着替えて出てくると休憩室の異様な雰囲気を察して固まっている。