「瑞希ちゃん、もう行こうよ」

「うーん、もうちょっと待って。こっちもいいなぁ、いやあれもまた……」


今すぐここを離れたそうにしているしーちゃんをスルーし、マネキンが着ている水着を真剣に見比べていた。

すると、


「えー、こんなの着れないよ〜。肌全然隠せてないじゃん〜」

「いいだろぉ? お前に似合うと思うぜ?」


イチャイチャという効果音が付いてきそうな声に視線を向けるとそこには私たちと歳が近いと思われる制服カップルが水着を選んでいた。
彼女が鏡の前に立ち、その後ろから彼氏が水着を彼女の体に当てている。パッと見後ろからでは抱き付いているようにも見える。

しーちゃんはその事に気が付くと「わっ」と驚いたように声を上げて私の後ろへと隠れる。
そしてそろりと背中から顔を出すとこそこそとした声で呟いた。


「す、凄いねぇ」

「うん、制服デート凄く羨ましい」


彼女が「え、そっち!?」と声を上げる。

うん、やっぱり海もいいけれど制服デートが一番したい!
海にはこれからも何回でもいけるけど、制服でデート出来るのは今だけなんだもん!

こうなったら……


「しーちゃん、やっぱり店長にお願いしよう!」

「な、何を? 海?」


店長が制服を着てくれるように説得するしかない!