お礼を言うと彼は軽く頷いて次の注文に取り掛かる。
私はハンバーグをお客様のテーブルへと運びながら、少し雰囲気は怖いけど優しい人なのかもしれないと思った。

やっぱり瑞希ちゃんが初めに言ってくれたようにみんな優しい人ばかりで助かった。
家族以外の人と関わることってあんまりないから不安だったのだ。


「(いつか花宮さんとも桐谷先輩とも真正面から話すことができたらいいなぁ……)」


あと、少しだけ気になってたことがあるんだけど……


「(このお店って……)」


私が掃除をするために倉庫からほうきとちりとりを取って出てくると休憩室の方から話し声が耳に届いた。
振り返るとそこに立っていたのはまだ見たことがない二人の男の子だった。

驚くことにその二人は顔がそっくりだったのだ。
そういえば瑞希ちゃんが双子の先輩がいるって言っていたけどそれがあの人たちなのだろうか。

それにしてもやっぱりこのお店って……


「(顔が綺麗な人がいすぎて息が詰まりそうだよ……)」


あっち見ても花宮さんみたいな美人さんがいて、こっち見ても桐谷先輩みたいなイケメンさんがいて、そして今目の前には美形の双子さんが立っている。
どうして目の数鼻の数口の数が全部一緒だというのにこんなにパーツの揃い方が違うんだろう。

私がその双子の先輩を見つめていると右側にいた人が「ん?」と声を漏らす。


「あれ、もしかして……」


勘違いじゃなければ私を見て言っているのだろう。私はすかさず退散するようにと後ろを向くがもう片方の人も私に気が付いたようで、


「何か瑞希よりちっちぇーやつがいるけど」

「声が大きいよ」


すみません、と呼び掛けられて仕方がなく後ろを振り返る。
するとやはりあの双子が私のことを見つめていた。