しかしそれから一週間、なかなか勧誘は上手くはいかなかった。


「うー、なんでー」

「夏休み前だから上手くいくと思ったんだけどね」

「まだ一年生だから遊びたいとかじゃないの?」


先生からポスターを貼る許可を取り、学校中の壁に貼り付けているのだがまだバイトをしたいという声は掛かってこない。
一応自分からも帰宅部の子を調べ上げてクラスに行っては話をしているのだがあまり成果は無かった。


「しかしなぁ、」


彩葉は私が書いたポスターを見て、


「これはないでしょ、この煽りは」


その言葉に光里と一緒にポスターを覗き込んだ。


「そうかな、可笑しい?」

「『人見知り大歓迎! スタッフみんな優しいです!』って」

「んー、確かにこれじゃあ人見知りの人はまず惹かれないだろうねぇ」


苦笑いの光里に私は「そうかなぁ」と言葉を漏らした。
でもこれは実際事実だ。どんな人見知りの人だってあの職場なら大丈夫だと思う。花宮さんは頼りになるし桐谷先輩はちょっと怖いけど慣れたらそんなだし紅先輩は五月蝿いけど蒼先輩はイケメンだ。

そして何より店長が優しい。


「ど、どうしよう……」


これじゃあ店長にいい報告できないよ!