それで私は店長に選ばれたんだと思ったら運命的なのを感じて頬が緩んだ。
店長は学生のアルバイトの私生活にまで仕事が影響するのをいつも気にしている。優しい人だから皆が働きやすい職場作りに力を入れているのだ。


「だからどうしようかと思ってたんだけど小野さんがいいなら、学校の方でアルバイトのこと話してみてくれないかな?」

「勧誘ってことですか?」

「そこまではいかないけど、友達にアルバイト探してる子とかいたら」


店長の悩みを打ち明けられた私は事態を理解するとツンと唇を尖らせた。


「別に、それぐらいするのに何で黙ってたんですか?」

「ほら、仕事以外のときにもお仕事させるのは、ね?」

「そんなこと気にしなくていいのに。私は店長に頼み事されたらいつだって嬉しいですよ」


私の言葉にポカンと口を開けた店長は「ありがとう」とくしゃりと笑った。
その笑顔に胸を撃ち抜かれた。可愛すぎる。好きって気持ちが止まらなくなる。


「まかせてください! 小野瑞希、店長の為ならアルバイト勧誘ぐらい一つや二つ、百人くらい連れてきちゃいますから!」

「ひ、一人でいいんだよ?」

「直ぐに素敵な報告させていただきます。その時は私のこと沢山褒めてくださいね?」

「うん……」

「ご褒美でもいいですよ?」

それがあるから頼むの迷ってたんだよね、と店長は困ったように言った。