最近店長の様子が変だ。

何かを書いては天井や遠いところを見つめてはぁと溜息を付く。これをさっきから見ていても一分に一回はやっている。
それに加えて生気を感じられないというか、一応まだ二十代であるはずなのに若々しさが全くないのだ。目の下にはクマが出来ているし、もしかしてあまり眠れていないのかもしれない。

今日はずっと空中を眺めてはボーッとしていた。店長にしたら珍しいと思う。


「どう思います?」

「疲れてるんじゃない? 若くないし」

「えー、でもまだそんな歳では」

「いつも年寄り扱いしてんの誰」


それは私ですけど、と店長の様子が可笑しいことを花宮さんに伝えると彼女はさほど興味がないようで相変わらずサバサバと返事を返された。


「気になるなら直接本人に聞けばいいのに」

「そうなんですけど……でも話した方が辛いこともあるじゃないですか」

「そういうことなら店長は大人だし、表にも出さなさそうだけど」


花宮さんが言ったことは確かだと思う。店長のことだから本当に悲しいことがあった時、私たちを心配させないように表には出さないだろう。
だけど今の店長をずっと見ているのも心が痛む。何とかして役に立つことは出来ないだろうか。

私は意を決するとぐっと両手で拳を握った。


「分かりました! 聞いてきます! 今から!」


そう言って店長のところへ向かった私に「仕事しろー」と花宮さんが言った。