「私のこと意識してるから恥ずかしがってるんですか?」


思い切ってそう聞くと彼はぽかんと口を開けた後、頬を赤らめて口元に手を当てた。どう見ても乙女の反応だった。


「ば、馬鹿。違うよ」

「違うんですかー?」

「違います、早く帰らないと親御さん心配するよ」

「引き止めたの店長なのに」


ふふん、と鼻を鳴らすと店長が困ったように眉を下げて私のことを見上げた。店長の困った顔好き、もっと困らせたい。
もっと店長のことを困らせて振り回して、それでもっともっと私のこと考えて欲しい。未成年なりの恋愛の仕方である。

私はもう一度シュークリームを頬張ると機嫌がいいまま外に出た。
空には夏の大三角が広がっていた。

もう直ぐ夏休み。高校初の夏休みである。





「店長、小野にあげたシュークリームだけWクリームで普通のより高いやつですよね」

「花宮さんの気のせいじゃないかな?」

「(この男……)」


事務室の窓からも星座は見えていたそうだ。