私は事務室に入ると「どうぞ」と店長からシュークリームを手渡される。ただのコンビニなどで売っているような物ではなく、ちゃんとケーキ屋さんのシュークリームでこれは貰わないと損であったなと思った。


「新しくケーキ屋さん直ぐ近くに出来たから。さっき外に出た時に買いに行ってたんだ」

「ありがとうございます許しません」

「……別に許されようとしてやってる訳じゃ」

「食べ物で女子高生が釣れると思わないでくださいね! 美味しい!」

「釣られてるよ?」


ていうか食べるの早いね、と店長は呆れるでもなく微笑ましい顔でそう告げた。不思議と店長が買ってきてくれたということも美味しさの秘訣になるのだな、これが。
女の子は甘いものに弱いとよく言うが本当にその通りだと思う。甘いものと好きな男の笑顔に弱いのだ。

私は大きなシュークリームを頬張りながら、


「また私の友達来るみたいなんでその時は顔見せてくださいね」

「……俺なんか見たら小野さん変に思われちゃうよ?」

「どうして?」

「格好良くもないし老けてるし、趣味疑われちゃうと思うから」

「大丈夫です、普段からそうですから!」


私がグッと親指を立てると彼は「それでもさ」と曖昧に笑ったまま言葉を濁した。
店長がまだ父親のように私のことを心配してくれている内はまだまだ進展もあったことではないのだろう。

店長、大丈夫です。愛に年齢は関係ないですから。