貴方と出会ったのは、 月が綺麗な日だった。 満月でもない、三日月でもない。 ただ細い月が輝いていた。 「僕の勇気みたいだ……。」 ここから飛べたら僕は あの月の元へ行けるだろうか。 小さい頃に父さんと月を見上げながら 月にはかぐや姫やウサギが住んでる という話をしたことを今になって思い出す。 フワッと頬を横切った風は 何だかぬるくて、 生きていることを 思い知らされたんだ。 フェンスに足をかけた。 『ねぇ、死んじゃうの?』 「えっ……」 そうこれが貴方との出会いだった。