「コレは、何と読むのだ?」

ケイは出されたBusiness card、
ー名刺を手をして
目の前で ヒラヒラと笑う
アイボリーリネンスーツの男に
問うた。

「貴方ならぁ、何と読みますか
ねぇ。興味深いので、是非とも
思う読み方を~教えてください
ね~。ね?Emperor~?」

そうしてウインクをしてくる
タレた目を、興味深くケイは
覗く。

海猫が 鳴く波を越えて、
メガヨットなるクルーザーは
島を目指して 走る。


『 武 々 1 B 』



ケイのシャツが潮風にはためいて
鍛えられた脇腹が チラチラと
見え隠れする。

「オレのKaiserをEmperorと呼ぶ
貴様にDeclarationするが、オレ
は6th prince。Kingにはならん」

当然わかっていますよん。
という顔をして、ハジメは
口を弓なりにして、
褐色の肌に
体躯良く Vネックシャツを
着こなす イケメンに

挑むようにして
続けた。

「ビジネス上のゲストネームです
から~お構い無くぅEmperor。
さて、貴国は英語と中国語の
両方が日常会話ですしぃ。
ぜひとも、読み方を 教えて
下さいよ~。ええ何とでも!」

ケイは 整った顎に片手を
宛ながら

「『ウーウーイーイー』。は!
まるでキナ臭い場所だな。
ギャラリスト探偵のaddressか」

間髪いれずに、
ハジメに応えて、肩をすくめる
ポーズをみせた。

「クック、emperor!なんとも
言えて妙な アンサーですねぇ。
イッツ!グレート!!
『Wu―wu―yiーyiー』ですかぁ
へえ~なかなか良いですねぇ」

そんな
ケイの言葉の押収に 眉を上げて
ハジメは ウエービヘアを揺らして
楽しそうに人差し指を
立てる。

「探偵のいる場所は、キナ臭い
って嫌味だが?まあ、いい」

解ったのは 掴み所のない相手が
このギャラリストだという事。

「酷いなあ~。仕事柄、お客様の
思考を把握する1つの基準です
よん。私が、戯れに付ける 略称
も、オ・モテ・ナ・シ!」

はい、合掌~。とハジメは
いちいちポーズをしながら
ケイに、
さすが 頭に仮想軍司地図を
作る思考は、とか

あの脇腹はヒキョーだとか
なんとか
眼鏡の秘書?に話している。



「ギャラリスト探偵か、」

Maikelと
滞在をしていたホテルの
ラウンジで合流した
ケイはすぐに
芸術が開催されている島へ
渡った。

その先でMaikelに
紹介されたのが今
自分の目の前でワキャワキャ
している
ギャラリストで、
そのギャラリークルーザーに
ケイは Maikelと乗船していた。

Maikelから招聘された
ボトルシップイリュージョンは
まだ後の日程。

ギャラリーオーナーである
ハジメの cool秘書と
愉しげに話すMaikelを
ケイは見て、

Maikelは『ウーウーイーイー』の
Regular customersらしいな。

そう認識した。ふとケイは

「Sherlock、足に ケガか?」

ハジメの両足に視線を落とした。

「emperor!凄いなぁ。
ゲストからは初めて言われたよん
わかるぅ?両足骨折なんだよ~
レディを守って名誉の負傷さ、」

両足骨折?!
何をしたらそうなる!オマエ、
間抜けか。いや、

「sorry。Ladyに足を踏み抜かれた
のか?オレも I remember さ。」

アハハ!と爽やかに
ケイは笑ってハジメの肩を
同志だなと、バンバン叩いた。

なんだ、コイツsympathyだぞ!

「ふ~ん。もしかしてぇ、
emperorって家庭的な
女性がいたら、すぐお嫁さんに
する派なんじゃない?親近~」

今度はハジメが ケイの足を
フフンと 見てくる。

「オマエ、、Marriage hunterか。
まあ、いいが。そうだな 理想は
Homely woman であり、
Country mother なのかもな。
老若男女に慕われるPrincessだ」

そんなケイのセリフに
ハジメ
目の前の王子を 頭のテッペンから、足の先まで 観察する。

「ビックリだよぉ emperor。
なかなか クレイバーなんだぁ」

クルーザーの甲板で 話を
楽しむゲスト達に、
もう1人のスタッフが

「みなさんっ、宜しければ 中国茶など 如何ですかー。水出しで、
淹れてますから。ヒンヤリと
美味ですよっ。さあ ブレイクを」

声をかけて
用意した デキャンタセットを、
運んできた。

「ああ、シオンくんありがとぉ。
じゃあ~emperor、あちらにぃ」

水出しで
キリッとした風味がの
爽やかな 茉莉花茶だ。

島風が、ケイの黒髪でなびくと
ケイの ムスクの薫りと
茶の薫が交わって
より オリエンタルな風になる。

ハジメが その鼻腔を
擽る風に 目を細めた。

「Sherlockの言うとおりだ、
美味い。腕の良いWatsonだな」

ケイが黒髪を掻き上げて
ニコッと白い歯で笑えば、

ギャラリースタッフの女性陣は
思わず見とれている。


なんだよぉ、余裕縮尺今度は
イケメンemperorだぁ。

ムカつくよね~!と ハジメが
ケイに 八つ当たりをして、
口の端を ヒクヒクと
痙攣させている。

そんなハジメを フフンと
鼻で笑ってケイが
茶器を 戻す。

ハジメは、あからさまに
拗ねた顔で

「うん、帰っていいよ~♪」と
ケイに意味深げに笑って、

「マリッジハンターにはぁ、
我々の アドバイスなんて 必要
ないのでしょうねぇん。フフフ」

タレた目でジッと 褐色の王子を
意地悪く見つめた。