秋は黄昏マジックアワー。褐色の王子と恋愛混合二重奏

オレよりもいち早く
入国した4番目のBrotherは
どうやら大手民間企業と
friendship partnerとして
手を組んだらしい。

「まさか、オレがそのreception
ceremonyに華を添えるとはな」

ケイは、
1人エントランスのステージ裏
から、映し出される
プロジェクションマッピングの
タイミングを見計らって
佇む。

エントランスホールには
ケイが乗ってきた
白く クリスタルに光かる
ペットボトルシップが

たくさんのメディアの前で
スポットを浴びていた。

壁一面大型100インチLEDモニター
サイネージが8枚並んで
映し出される映像。

波の揺らぎ、豊かな海、
その波形はまるで、
水中で ペットボトルシップが
誕生を待つように見えて、
何度見ても ケイは息を飲む。

「The best paradise in the world
アザミに見せたいvisionだ。」

ケイの耳に
聞こえてくる鼓動の音。
海鳥の声が 合図とばかりに、
ペットボトルシップの船体を

サーーーーー
アウトラインをなぞるように
メカニカルな電子ラインが
ほとばしった。

「しかし、あの Sherlock から
このillusionの依頼をcallされる
とはな。世界はmiracleだ。」

海中のボトルシップが
七色の骨格を持って
輝きを放ち
闇に形を浮かびあがらせるのを
ケイは確認する。

そう、ここで
突然 ボリュームがONされ
BGMが流れるのだ。
ケイはそれを聞きながら
芸術祭で出会った
ギャラリストの声を
思い出す。


『emperor~!ボトルシップでぇ
首都にいるのぉ?えぇ!?
シップの操縦士もするんだぁ。
あのさぁ、お願いなんだけどぉ
芸術祭でしたさぁ、シップのぉ
イリュージョン、あれぇ、
そっちでもぉ、してくれない?』


船の床面に、
四角く切り取られた海が投影して
走るような映像が
動きはじめると、
ボトルシップが
漕ぎ滑るかに 観客に見せる。

「この last travel は一体何だ? volunteerばかりだ。次々とだぞ」

『あ!!機材とかならぁ大丈夫
そのボトルシップを招聘した~
企業の研究所にさぁ知り合いが
いるから~、そこに何でもさぁ
言ってくれてら大丈夫だよん。』

フン!!
シケた面のタレ目が!!

投影される水面は
飛び魚が 群れなす 昼の海から
星降る夜海へ変わり、

シップの内側から 光の粒子が
吹き出し、船中に充満して、
みる間に
七色の光の羽がシップに
ぐんぐん生え広がって!!いく!


「Yes!!show time だ!あの Sherlock の言いなりは 癪だが!」

ケイが 呟くと同時に

『バシュッ!!』

炸裂する破裂音とスモーク!!
これが、登場のsignalだ!!


白銀の煙から
嫌味なほどに純白なタキシード姿のイリュージョニスト・ケイが

『ダン』

と、踊り 飛んで
一瞬で、
花弁のよう舞い降りた!

呆気にとられているギャラリーに
ケイはハジメがするように
ウインクをする。

「さあ、magic time だ lady?」

ハハ、最前列にいたメディアが
Heart eyeになったぞ。
こーゆーのを Zukyuuun って
言うんだろ?

回りのモニターが
リズムを刻んで
ボーダーにライン点滅をする中、

ケイは、
鮮やかな手つきで
次々にカードを生み出だしていく

「そういえば、あのSherlockが
Dirと呼んでいた男。そうとうな
Doerだな。手配が速く的確だ。
実にけっこう。assistantは、、
Sherlockが 言った通り、脳筋」

ケイは、ククっと
微笑しながら
カードシューティングを
『ヒュンヒュン』と華麗に飛ばして
無数のカードを今度は
真っ白い鳥にメタモルフォーゼ
させる。

『ティカ』も飛ばしてやろう。

エントランスを
周遊した
鳥達は すぐさま
ケイのシルクハットに
すーっと戻ってきた、はず?

おや?ティカが 戻ってない?

ボトルシップから、デジタルに
マッピングされた花々が溢れて
伸び出して
モニターに、
企業のブランドネームが
次第に映し出されていく。


Focus だ オレ!lastだぞ。

『パチン!!』

ケイが、高らかに指を鳴らせば
スモークから、企業のフロントCEOが出現して、
手を広げて観客に応える。

観客のボルテージは
最高潮に膨らんで
盛大な拍手が巻き起こった。
よし!最高だった!

ケイは、バッと
白マントを大きく広げ纏って
マントの影から身を隠して
ハラリと、マントだけを
床に落した。
これで 観客は
ケイが 煙のように消えて見える。

同時に白い鳥達が
ピースシンボルのように
いっせいに飛び舞い、
後には
ステージに、CEOが
ライティング台の前に立てば、、

オレのillusionは endだ。
もちろんperfectだったぞ、

1人のマジシャンの手で紡がれ
レセプションは 想像を越えた
エコロジカルショータイムとなる

取材陣達のどよめきと
企業への質疑応答。
急遽、ペットボトルシップ周りに
記者を集められる。

「 ティカは何処だ?」

ステージはカメラフラッシュが
辺りを発光するが、
バックヤードのケイは
鳥の様子をみて、
ティカが居ないのを 確認する。

と、
「大成功じゃない!やったわ!」

喜びにうち震える、スタッフの声がやけに響いて聞こえ、
ケイは 声の方に
視線を流す。

あれは、artist escortしてくれた
ミズキとかいうstaffだ。

「怒涛だ、怒涛だったよ。」とか
気の抜けた声もする。

吹き抜けを 囲むように、
下のフロアーを覗く手摺に、
レセプションのスタッフが
並んでいるのが
1階ステージ裏から見えた。


『さあ、各部に無理を言った
お礼参りに行って!!
タムラさんは、備品搬出ある
でしょ!完全終了したら、
外部ヘルプに指示出しよろしく』


まだ、ステージは
メディアのフォト撮りが 続くが
バックのスタッフは
撤収をしている。


『バササッ』

出し抜けに ケイが探していた鳥、
ティカが、降りてくるのが
見てえ、ケイは安心した。
と、その ティカが止まった先を
おもむろに見る。

『キュイッ!』

ティカが、ケイに向かって
鳴いた。

!!!

誰の肩に、
留まって 頭を傾げているんだ!
ティカは そうそう人に
懐かない。

なのに、 当たり前の様に
その人物は指で ティカの
頭の後ろを なぜている?

再び ティカが独特の鳴きを
上げた、

『キューーーーイ、キューーーーーイ』

コイツは、、朝のオニギリ女神か

鳴き声を不思議そうに
聞いている
彼女の肩に ケイは手を伸ばす。

その 耳元に、

「ーー捕まえた。」

深い響く声で わざと粋で
なぜ上げてみる。
それは、ちょっとした好奇心だ。

ぎぎぎぎって、音がしそうな
固さで、オレの方に向ける
彼女の瞳は
困惑の色に染まっていた。
予想通りの反応に
ケイがニンマリしたが、

ん?
この瞳、、Something is wrong
違和感だと?

両手で
確保した ティカを
自分の胸元に仕舞ってさらに
確認をしようとする。

「あ、貴方の鳥でしたか。
すいません。勝手にさわって。」


目の前の 眼鏡の地味な
オニギリの女神は、
申し訳なさそうに、弱々しく
謝っている。

そうだった、朝と今のオレは
雲泥の差だ。しかし、
ティカは、間違いなく彼女に
鳴いた。

なら、この彼女が
運命の花嫁の確率は 高い、、

「・・━━━・・・」

凄く綺麗な白い歯をニカッて
見せながら、
オレは
明らかに、
胸元から出せそうにない
荷物を彼女に
差し出す。

朝のporchとwater bottleだ。
そして、

「ー You are my life saver ー」

覚えておけ、
『マジシャン』ってのは
『魔術師』を演じる者なんだよ。

キミは何者だ?

ああ、オレも人の事さ、
言えないんだったよ。
10年前に出会ったDestiny partner
運命の少女を探している。

ティカ、オニギリの女神は
運命の少女なのか?

オマエは誰だ。
「あの、、、貴方。こんなとこで
何されて、。いるのですか。」

アサミは
ヒルズヴィレッジの
タワーオフィスから 退社して、
同じ区画内で テナントが入る
コンセプトモールに
向かって歩いていた。

ヒルズヴィレッジの区画には
タワーオフィスの向かいに
日本ブランドの ショッピング
モールと、
総合医療センター。
タワーと同じオーナーが建設した
レジデンスがあって、

それらは 緑豊かな
ランドスケープ デザインに
なっている。

モールの前には
グリーンパークがあって、
シンボルツリーが
都心でもナチュラルな景観を
作っていた。

そのグリーンパークの
隅っこの芝生。

子猫が いそうな、
段ボールに入って
真っ赤な傘をくるくる回す
不審者を、
タワーエントランスを出た
アサミは、目にして
ギョッとなった。

たまに、前を行く人が
チラチラ見ているのも
仕方無い。

近づけば、段ボールには
ご丁寧に 黒マジックで、
『Do magic for you』と
書いてあるわけで。

朝と同じでさ、
髪と髭で 半分は顔がわからない
不審者になってるよ。

「Street、マジック!!」

いや、悪戯しちゃうぞ的にさ、
マジックって言われてもさ。

だいたいさ、
こんなとこでしなくてもいい
凄ーーーい
パフォーマーなんじゃないの?

「Do magic for you!
君の為に 魔法を使うよ。」

そう、目の前で
髪も髭も
伸びっぱなしの 不審者は
わたしの脳内葛藤を
知ってか しらいでか

また例の真っ白い
歯をニカッとさせて、

これまた白いTシャツに
デニム姿の
三角座りポーズなんかして、
片方の手を出すと
指で輪っかを作った。お金!

「Please pay the price!
対価?は お願いしますから。」

ハイハイ
0円は、スマイルだけね。
にしても
この不審者はさ、本気だろうか?

アサミは怪訝な顔をしつつも
鞄から出した、財布を開けて、
答える。

「OK。マジック、プリーズ」

だってさ、
今日は この人によ
助けてもらったようなものだし。

それにさ、
あんな夢みたいなのをさ、
ううん、あんな凄くなくて
いいよ。
本の少しでも、小さくても
楽しい 何分かを
わたしも 久しぶりに持って
みたい。
けど、
うーんとさ。いくらだろう?

500円玉を出して、仕舞って
1000円札を おもむろに 出してと
迷っているうちに、

「baby、名前は?」

ん?baby?

「アサミ。あれ?あ、そうか」

思えばさ、
ギャラリー『武々1B』の
ハジメさんの口聞きでよ、
ダレンが窓口に なってくれて
後はさ、ミズキ先輩に
ダレンとやり取りしてもらった。

レセプションセッティングが
怒涛だったから、
アーティストエスコートも
課長がしてたし、

「ちゃんと挨拶してないですね」

終わって、あの再会もさ
すぐに課長が
アーティスト リカバリーに来て
ろくに会話もしないままさ
別れたんだったっけ?

財布をもどし
まずは、鞄から名刺を出して
アサミは 両手で差し出す。

どうやらさ、日本語も 全然大丈夫
みたいだしね。

「アサミ。魔術師ケイです。
これから ヨロシク。」

そう言われた とたん、
ケイに渡した名刺が
『ボン』と音を立てて、
マジックファイヤーが上がり

わたしの目の前にさ
一本の赤い薔薇の花が
差し出されていたよ。
凄い!!

「あ、あの、サンキュー。
ケ ケイ、 朝。わたした食べ物
は、 大丈夫でしたか。」

目の前で 薔薇を差し出した
ケイは、もう方の手で
赤い傘を なんでもない様に
肩でくるくる回している。

わたしは、挙動不審。
もらった薔薇を、鞄に差して
朝、気になってた事をめぐらす。

こ、これ お金は、?っ

動揺を隠すようにさ
ケイに聞いたんだけど。

「助かりマシタ。Crow達に
モーニングを 取られマシタから」

ケイの表情は 伸びっぱなし前髪で
分かりずらいけどさ、
口元が ヘニョっと 下がっんだよ。

「そ、それは、、悲しいですね」

「エアロバイクで Human
エンジンしてきてのシウチ。
起きあがれない。アイムdying」

そうおどけて、親指で首を
切るポーズをケイは、
するけどさ、
もう 朝のは コメディなんだけど。

なんかね、今のは様になる。

て、いつの間に、、
雨が降り始めていたんだろう。

「Raining?」

ケイは、
くるくる回していた傘を、
肩からスッと 外して
わたしに 入るように
持ち直してくれていた。

段ボールの中に立ってるけどさ。

「あの、とりあえず 雨を、
しのぎましょう。えと、中に」

雨の中で立ち話も、何だし
そう、コーヒーで、薔薇のお代は
チャラになる?って
モールの中を示してさ、
移動をしようと思ったんだけど

「、、その、段ボール、
持っていかなくてもいけます?」

赤い傘を相合傘で
ケイが そのまま 段ボールから
出て歩きはじめたかもんだから、
つい聞くと、事も無げに

「ノン。すぐリカバリーする。」

そう返事された。
なんだ?小人でも使うのか?

わたし達が モールに入る
直前に見てもね、段ボールは
変わらず芝生に
佇んでいたけどさ。

「アサミ。ショッピング?」

差していた赤い傘を
今度は くるくると
畳んで、髪で半分見えない
目元に、眼鏡を掛けたケイが
聞いてくる。

眼鏡、、。なんかのキャラみたい

そうだ!ペットショップを
見ようと

「鳥を、リトルバードを、欲しく
なって、ちょっと見ようかなと」

そこまで言うと、
ケイは ゆっくりと 長い人差し指を
一本立てて、わたしの 唇を
縫い止めた。

なんだよ、いちいち、、
?!

「魔術師ケイが、アサミには、
バードをあげましたから、」

No problem だと、指を解く。
その手を開いて見せてくれると
あの真っ白いオカメインコが
乗っていた。

「この子!スノーホワイトの
オカメインコ!!う愛い、、」

ケイの手のひらから、
わたしの指に ピョンと飛び乗る
オカメインコの 後ろ頭を
撫でてあげる。

指にスリ寄る その小さな
頭の下、羽の間に レモン色の
ハート模様まで あったりしてさ、
ウイヤツ、この上無いよ!

「名前は、『ティカ』
Amulet の バードだよ。」

お守りってさ、ことよね。
スノーホワイトの オカメインコさ
相場って いくらだろう?

「えと、余り凄い子は、もらえ
ないです。けど、譲ってもら
えるなら、、お金払います。」

すでに、この子に魅了されて
しまった わたしは、
なけなしのヘソクリを はたいて
譲ってもらう決意を すでにした。

心震えたらさ、即決よ。なのに

「ノー、マネーだ。」

ケイはさ
一言呟くと、『ティカ』を掴んで
手のひらで消してしまったのよ!

顎が外れそうに、
『ガーン』のマンガ音がしそうな
くらいに、
それはもう ショックをさ、
受けた顔をしていたと思う
わたし。

うううっ、。酷い!嫌がらせだ。

あれか!朝の 投げ込んださ、
味噌汁とか、助かったけどっ
マズかったのか?闇にクレームか

「わたし 鳥、見に行き、ます。」

もう 片言でしか しゃべる気に
ならないのに、『くそケイ』は、

モールの入り口に、
テナントを広げている 書店型
コンセプトショップにある

AIロボットとか、
リモートゲストロボットを
物珍しそうに 追いかけていたよ。

都内とかにも何店舗かある
店内をウッドデザイン本棚で
ゾーニングした 話題のショップ。

1日潰せそうな、蔵書と
書店では とてもありそうにない
近未来の家電や 、
ハイスペック雑貨がディスプレイ
されている。
それがセンスよく
売られていてさ、店内を
歩くだけで 楽しいんだよね。

ほら、
LEDの光で四方を照らす
鏡なんて、実は 大型スマート
ミラーフォンなんだよ。
女優ミラーな姿見なだけでなく、
下にさ、ローカルから、
ワールドワイドな ニュースが
流れて、デジタルタイムも出る。

あっちにさ、
磁石で宙に 浮いている球は、
ライトスピーカーで、 地球儀や、
ハウスプラネタリウム
にもなるんだよ。

そんな ディスプレイ品を
あちこち触っては、試す、
『くそケイ』は、むさ苦しい
子供みたいだよ。

「アサミの、ライスボールの
マヨネーズテイストは 凄い。」

太陽熱だけでBBQを焼ける
スマートな 近未来キャンプ品の
細長いトレーを出したりしながら
いきなり
ケイは 話てきた。

「あれは、手作りマヨネーズに、
お醤油、、ソイソースを、、
プラスしてるんですよ。」

ナンプラーとか、魚醤とかがさ、
ある国なら、美味しく感じる
のかもしれない。かもね。

「ハンドメイド?マヨネーズを」

別に、難しくないし、
最近は 流行ってるからと
ケイには いいながら、
まあ 節約が 理由の大半だとも
正直に 説明。

「作れるものは、作らないと。」

だからさっきから いろいろと、
今どきの女の子あるまじきさ
感じになるのよと、

『ティカ』が消えて残念だと
闇に 非難しとく。

そんな風に、アサミが
冗談めかして言うと、

ケイは アサミをジッと 見ている。

「あ、でも、さっきの薔薇の
マジックは素敵でした、から、
コーヒーでイーブンできます?」

アサミは、
ケイに 確認するように 伝える。

のに、『くそケイ』は
全然すっとんきょうなセリフをさ
吐きやがったよ。

「OK、Let's make a ケイヤク」

はい?

「契約?」

「そー、ケイヤクだ。君と。」

あ、今のイントネーション。
本当は、
全然、日本語しゃべるよね?
貴方。
「あの、、、貴方。こんなとこで
何されて、。いるのですか。」

彼女がオレを見つけて
声を掛けてくるのは
予定調和だろ?

今日のオレは
Princeでもartistでもない。
どこでもある白いTシャツに
デニム姿。

『パユン、パユンー傘、傘ー』

国では 時に 突然の豪雨に
あう。
そんな時に 現れるのが
ーOjek Payungー
オジェック・パユン
傘小僧だ。

彼女が働く
ヒルズヴィレッジの区画には
タワーオフィスの向かいに
日本ブランドの ショッピング
モールと、
総合医療センター。
タワーと同じオーナーが建設した
レジデンスがある。

それらは 緑豊かな
ランドスケープ デザイン。

モールの前には
グリーンパークがあって、
シンボルツリーが
都心でもナチュラルな景観を
作り、

そのグリーンパークの
隅っこの芝生が ちょうど良かった
ケイは
段ボールに入って
真っ赤な傘をくるくる回す。


『パユン、パユンー傘、傘ー』

Ojek Payungのパユンは本来
rainbow colorで、
雨通りに花を咲かせる。

ハハ、まるで
不審者を見つけたfaceで
タワーエントランスから
彼女が出て
寄ってきたぞ。

朝と同じ
髪と髭で 半分は顔がわからない
不審者にtransform
してるからな
周りもチラチラ見ているが
仕方無い。

段ボールには
ご丁寧に 黒マジックで、
『Do magic for you』と
書いてやった。

この国にはOjek Payungは
いないからな。
だから、

「Street、マジック!!
Do magic for you!
君の為に 魔法を使うよ。」

そう、彼女の目の前で
真っ白い
歯をニカッとさせて、
三角座りポーズなんかして、
片方の手を出せば
指で輪っかを作くる。

「Please pay the price!
対価?は お願いしますから。」

『パユン、パユンー傘、傘ー』

Ojek Payungはこうして
travelerの警戒心を
とくんだよ。
スマイルは no moneyだろ?

そんなオレに、
彼女は怪訝な顔をしつつも
鞄から出した、財布を開けて、
答えてきた。よし。

「OK。マジック、プリーズ」

段ボール通りにmagicを
callして彼女は、
500円玉を出して、仕舞って
1000円札を おもむろに 出してと
迷っている。

「baby、名前は?」

さあ、なんてanswerするんだ?

「アサミ。あれ?あ、そうか
ちゃんと挨拶してないですね」

財布をもどした彼女は、
今度は、鞄からbusiness cardを
出して
オレに 両手で差し出す。

そのcardには

『田村 あさみ』と記憶に無い
nameがprintされているのを
確認したが、

「アサミ。魔術師ケイです。
これから ヨロシク。」

アザミじゃなく、アサミ?

そう思って、magicを発動。
渡されたbusiness cardを
『ボン』と音を鳴らして、
magic fireを上げれば

瞬間のアサミの瞳の瞳孔が
開いて、コンタクトlineが
ハッキリと 見えた。

アサミに
一本の赤い薔薇の花を ゆっくりと
差し出して アサミの瞳を左右に
動かせば、
コンタクトline colorが
whiteだと 悟った。

「あ、あの、サンキュー。
ケ ケイ、 朝。わたした食べ物
は、 大丈夫でしたか。」

アサミはmagicに驚いて
何かモゴモゴ言っているが、

目の前で 薔薇を差し出した
オレは、もう片方の手で
赤い傘を なんでもない
フリして
肩でくるくる回して続ける。

「助かりマシタ。Crow達に
モーニングを 取られマシタから」

そう 何気ない言葉を
口元をヘニョっと 下げて
伝えながら、
彼女を 上から下まで survey。

やや挙動不審気味に。
オレが出した薔薇を、鞄に差して
いるアサミ。

「そ、それは、、悲しいですね」

オレは 伸びっぱなし前髪で
視線を分からないように
している、、思い出せオレ。

「エアロバイクで Human
エンジンしてきてのシウチ。
起きあがれない。アイムdying」

そうおどけて、親指で首を
切るポーズを決めるが、

考えみれば
10年前に1度会った恋の相手の
顔を どこまで覚えている?

しかも 目の前のアサミは
アザミとは全く違う。
見た目も、雰囲気も。
体つきも服からは 解らない。

なら、アサミに興味を持ったのは
アザミだと思ってじゃないな。
簡単だ、
違和感への 好奇心だ。
そして、
ティカの声。

このアサミが運命の花嫁と
ティカが言うなら
オレは彼女を
searchするべきだ。


『パユン、パユンー傘、傘ー』

いつの間に、、
雨が降り始めていたんだろう。

「Raining?」

くるくる回していた傘を、
肩からスッと 外して
アサミに 入るように持ち直した
ら、

「あの、とりあえず 雨を、
しのぎましょう。えと、中に」

アサミがモールの中を示して、
移動をした。

ああ、Ojek Payungのniceな
ところは、

パユンだけじゃなく
ladyのBagをcarryしてくれる
ところだ。

「、、その、段ボール、
持っていかなくてもいけます?」

意外にfine thing を気にするな。

「ノン。すぐリカバリーする。」

影にいる警護がだがな。

オレはOjek Payungになって
赤い傘を
アサミと相合傘に
そのまま 段ボールから
事も無げに歩き始める。

「アサミ。ショッピング?」

赤い傘の中
髪で半分見えない目元に、
眼鏡を掛けたオレが聞くと、
アサミは

「鳥を、リトルバードを、欲しく
なって、ちょっと見ようかなと」

と言うじゃないか!!
オイ!!

ゆっくりと 長い人差し指を
一本立てて、アサミの 唇を
縫い止めた。

「魔術師ケイが、アサミには、
バードをあげましたから、」

No problem だと、指を解いて
手を開き
真っ白いオカメインコのティカを
アサミに披露する。

「この子!スノーホワイトの
オカメインコ!!う愛い、、」

オレの手のひらから、
指に ピョンと飛び乗る
ティカの 後ろ頭を撫でるアサミ。

ティカの頭の下、
羽の間には 運命の鳥特有の
レモン色のハート模様がある。

「名前は、『ティカ』
Amulet の バードだよ。」

国の守り鳥。
スノーホワイトの オカメインコ。
どうやら、ティカはアサミを
選んだらしいな。

「えと、余り凄い子は、もらえ
ないです。けど、譲ってもら
えるなら、、お金払います。」

ハハ、jokeだろ?

「ノー、マネーだ。」

一言呟いて、『ティカ』を掴んで
手のひらで消す。
すぐに
モールの入り口に、
テナントを広げている 書店型
コンセプトショップが見えて
ペットは 隠すのがruleだろう 。

AIロボットとか、
リモートゲストロボットか。

この
磁石で宙に 浮いている球は、
ライトスピーカー?、
ハウスプラネタリウム
にもなるのか。

BBQ用品もあるぞ。

「アサミの、ライスボールの
マヨネーズテイストは 凄い。」

太陽熱だけでBBQを焼ける
スマートな 近未来キャンプ品!

「あれは、手作りマヨネーズに、
お醤油、、ソイソースを、、
プラスしてるんですよ。」

何でもない話から
さて、どう約束をとりつけるか?

「ハンドメイド?マヨネーズを」

ceremonyまでの時間で
見極めが必要だ。

「作れるものは、作らないと。」

そんな風に、アサミが
冗談めかして言う。

オレは アサミをジッと 見ている。

「あ、でも、さっきの薔薇の
マジックは素敵でした、から、
コーヒーでイーブンできます?」

アサミは、
オレに 確認するように 伝えた。
まとまった。
よし、これでいこう。

「OK、Let's make a ケイヤク」

はい?とアサミは驚いているが、

「契約?」

negotiationだ。

「そー、ケイヤクだ。君と。」

そのままねじ込め。

「あ、あの。」

全然、日本語しゃべるよね?
って顔するなよ アサミ?

Because
オレのmotherは
この国の出身だからな。

覚悟しろ。オレ。

アイスコーヒー1200円。

夢想、無双だよ。
わたしは、今

まだ、入った事がなかった
ここはさ、セレブなコーヒーの
エンターテイメント空間。
に、居てるんだよ。

って、他の人ならさ
大した事ない話よ。

でもさ、
樽熟成豆のアイスカフェって
ヤツが ひと飲みがよ
1200円、、、、幻か!

「じゃあアサミ、改めて
Let's make a ケイヤクだ。」

店内を回遊してサービスをする
コメッサが
腰に下げたデバイスで、
ケイとアサミのオーダーすると、
その場で ケイが
キャッシュレス決済を済ませて、
引き換えのレシートを
もらった。

『シュッ―、ジャー。パチパチ』

カフェに、
スチーム音と拍手が響く。

ケイは、前髪が伸びっぱなしの
見えてない目元に
掛けた眼鏡を
手で直しながら、

さっきも 告げた言葉を
再び、アサミに投げてきた。

「契約って、わたしとですか。」

「そー、ケイヤクだ。君と。」

「・・・・」

暫し、2人の間に沈黙が流れる。

『シーュッー!!
パチパチパチパチ!!』

又、スチーム音+拍手が
ワーワーと 歓声と掛あって、
ビッグウェーブと鳴った。

この歓声に惹かれて、
さっき、
『契約』と聞こえた単語を
聞き返そうとしたアサミを
なんなく、放り出して
ケイは 歓声のした奥、

コンセプトショップなる書店の
深部に併設された
広大なカフェに
好奇心満点な顔をして
行ってしまったのだ。

「えと、意味が分かりません。」


カフェ入り口から
見えるのは、吹き抜けにまで
伸びる巨大な
コッパーメイドのキャスク。

それには 寝かされた
コーヒー豆が貯蔵されて、
カフェフロア、
ティーフロア、
カクテルフロアのサイロに
まるで
スチームバンクの工場さながら
張り巡らされた
シンフォニー管を豆が
移動していた。

「そもそも、わたし、分かってる
と思いますけど、れっきとした
バンケットスタッフで仕事して
ますから、ムリです。」

わたしは、キッパリとさ、
向かいに座るケイに 伝えるよ、、

豆の名前がランプされると
『シュッ』という音がして
豆が降ってくるから、
スタッフが盛大に拍手を、
ゲストも歓声を上げるのだ。

でも、そんな演出さえさ
わたしは今、気にならないよ。

だってさ、向かいに座るケイの
Tシャツの首もとから、

さっきの オカメインコ!
『ティカ』ちゃんが 顔を
顔を、顔を 出して!可愛い!!
のーーー。

カフェに、
焙煎の香りが、立ち込めて、
ローストされた豆が排出される。

今度は、照明が
ダウンして、
ローストされたマメに
スポットライトが当てられた。

まるで、舞台のように
無音に空気が変わる。
陰る世界に、ケイのシルエット。

「そんな固いモノではないから
ノー problemだ。仕事終わりに
プライベートコンダクターを
して欲しいのが、ケイヤクだ。」

それは、まるで本当に
魔術師との契約みたいな
台詞に聞こえてしまい、

首もとの、『ティカ』の
スノーフェイスがさ、
暗い中に 真っ白く
浮かんで、目が光ったと、
パチンて Tシャツの中に潜った。

「ええと、ツアーコンダクターを
個人で、、やったら、いいと」

そうケイに
目の前の世界に、溺れそうに
答えたら、さ

また店内の照明が戻って
今度は、ティカちゃんが
ケイの頭の上に、ピョコッて
出てくるの!よ!

目が覚めたように
頭のティカちゃんに視線を
合わせたら、
その向こうに 美味しそうな
焼きたてのパンを出すさ
ベイカーが見えた。って、

ペットはさ、ヤバくない?
そう焦ったら、また ティカちゃん
ケイのぼっさぼさの髪に
潜るのよね。
そりゃ、わたし
気もそぞろになるよ!

「ケイなら、ちゃんとしたガイド
雇えると、思います、けど。」

あ、袖、袖からティカちゃん!!

そんな
集中できない
やり取りをしてると、
ケイの電話に メニュー
通知音がして、
また ティカちゃんが 袖に潜った。

「Sorry、アサミ。先にカウンター
取りに行ってくるから。Stay。」

わたしが
取りに行こうと腰を
浮かせるのを 制して
ケイが さっさとカウンターへ
長い足を 運んで行った。

緊張が解けて、息をする。
周りを見回せば

科学の実験をするかの
いくつもの、本格メーカーで
抽出する
コーヒーバリスタが見えたり、

バーテンダーが
樽を並べた カウンターで、
コーヒーカクテルのシェイカーを
振る 『シャカシャカ』と
小気味いい音がする。

どのスタッフも ワークスタイル
カッコいいけど、

「お待たせ。アサミは、
カプチーノcocoaと、coffee
タルトレットだね。どうぞ。」

目の前にトレーを持って
立つケイのスタイルも
負けてない。

いや、ぼっさぼさのヨレヨレ
眼鏡変装を引いたらさ、
素顔なら 勝負にならない
イケメンさだよ。

どうも、イケメン様
コーヒー+スイーツ合わせて
2000円近くを
ご馳走になります。です。

「いつもは、『キャンプEARTH』
でボランティアしてる。
たから、出来るだけイージーに
tripしたい。それも出来るなら
この国のGood pointを 見たい」

ふうん。
キャンプアースはさ、
国境を越えて国際協力を
するボランティア団だった
と思う。

そっか、ボランティアしてる人
なんだ。イリュージョンをさ
生業にしてるわけでは
なさそうって事よね。

「ケイは、、国は、どこ?」

「アジア、 南シナのSea Island
だ。アサミは わかるか?」

なんとなくねと、答えて、
今度は シックなスイーツに
手を着ければさ、

うわっ、コーヒーのタルトケーキ
美味すぎて、惚けるよ~

「でも、わたし、プロの
コンダクターじゃないから、
お金とか、、もらえません。」

あ!またケイの首もとから、
『ティカ』ちゃん!

「So、対価は『 Magic』。
オモシロイ だろ?アサミは
After workに、コンダクターを
する。対価に、Lunch time magic
をショーする。滞在は10day。
それと、」

首元に『ティカ』ちゃんを
出したまま、
ケイがゆっくりと、
樽熟成豆のアイスカフェを
口に含む。

「それと?」

コーヒーというより、
樽、モルトっぽい薫りが
ウイスキー的で、

「コンダクターとしてMission
エンドすれば、『ティカ』を
差し上げよう。どうだ?」

向かいのわたしは、クラクラする

「っ!本当に?」

もう正常な判断ではないかも。

「I promise!神に誓う。」

今度は、とうとう肩に『ティカ』
乗せて、ケイは 無駄に長い
足を組んだ。

「ケイ、やりますっ。」

凄い不適な笑いを
されているけどさ、スノー
ホワイトのオカメインコって
4万~なんだよ値段がさ。

「ヨロシク、baby。」

ケイは、アサミに手を差し出して
握手をサインする。
アサミも その手を、しっかり
掴んで 互いに握って放す。

「何かあれば、ここに『魔術師
ケイとコンタクトしたい』
と言えばいい。スタートは
tomorrow!!Are you ready?」

カフェテーブルに出されたのはさ
大手企業の名刺だよ?

まあ、いっか。

「OK、クライアント様。」

ニッコリと笑顔作って
ケイに そう言ったらさ、

それは嫌味かと 笑われたよ。
なんだよ、

だいたいさ、
豆がさ、こう 行き交う中をね、
お互い変装なんか
している、2人なんだよ。

本当にシュールとしか
言いようがない。

それこそ 魔法にかかったような。
いろんな意味で
マジックアワーの
始まりだよね。
Whisky barrelにagingさせた
icecoffee は1200円というcafe。

因果因縁

輪廻転生

諸行無常


coffeeの芳ばしい薫りが
芸術祭で 訪れた 島のカブキを
思い出させるから
不思議なモノだ。

ヤシロ?のtorchが
チロチロ燃えてた カブキstage。

『~壮絶か人生ぃ 如何
清水寺の僧がぁ 姫 に恋し
大破戒するが 長き舞台ぃ
それ 始めの 縁起とは 如何~』

蜃気楼、夢想、無双だな。

ケイは

店内を回遊してサービスをする
コメッサに声を掛けて
アサミの分もオーダーする。

『シュッ―、ジャー。パチパチ』

カフェに、
スチーム音と拍手が響くのが
まるで、

波音と観客の喝采に聞えた気が
またして、ケイは、
目を細めた。

ここは
セレブリティなcafe空間だろ。
アサミに話だ、、

「じゃあアサミ、改めて
Let's make a ケイヤクだ。」

ケイは、前髪をわざと伸ばして
見えてない様にする目元に
掛けた眼鏡を 手で直しながら、

再び、アサミに投げる。

「契約って、わたしとですか。」

「そー、ケイヤクだ。君と。」


ああ、確かあの島でみたカブキも
そんなstoryだったな。
そのせいか、、
この既視感は。

確か
生まれかわった
オヒメサマと、ソウリョが、
promiseを交わして
もう1度 出会うstoryだった。


『~小さき香箱 蓋と身に 分け
蓋を 寺稚児が 左手に
身を 所化に
香箱
蓋と身
互いの名を 認め
起請代わりか~』


「・・・・」

ケイの問いかけに、
アサミは応えない。
暫し、2人の間に沈黙が流れる。

『シーュッー!!
パチパチパチパチ!!』

又、スチーム音+拍手が
ワーワーと 歓声と掛あって、
ビッグウェーブと鳴った。

cafeのguestの声に
惹かれたフリをして わざわざ、
『ケイヤク』のwordを
うやむやに アサミを cafeに
引き込んだ。

cafeは 入れば
すぐには、アサミも
帰らないだろう?

「えと、意味が分かりません。」

それでも、アサミは 足掻いて
きた。

カフェ入り口から見える、
吹き抜けにまで伸びる巨大な
コッパーメイドのキャスクは、
スチームバンクの
工場さながらで

張り巡らされた
シンフォニー管を豆が
移動しているのが

ケイには
波の音に聞こえて
惹かれて、
cafeに入ったのもある。

「そもそも、わたし、分かってる
と思いますけど、れっきとした
バンケットスタッフで仕事して
ますから、ムリです。」

アサミは そんな風に
豆音を
波にして聞くケイに

キッパリと断りを伝える、、


なかなか 硬いな。

だから ケイは、少しヒキョーな
手を使う事にした。

豆の名前がランプされると
『シュッ』という音がして
豆が降って、
スタッフが盛大に拍手、
ゲストも歓声を上げる。

舞台の客席のサザメキがまた
ケイの耳に届く。
と、

向かいに座るアサミの視線が
ケイのTシャツの首もとに
止まった。

『ティカ』に ケイが、
顔を 出させたのだーーー。

ハハ、そういえば、
カブキでも、magicの様に

生まれたオヒメサマの手から
Destiny partnerの
ソウリョnameが
出て来て、
2人が 互いの
peaceを
ピッタリ合わせてたな。

そのpeaceを
白い鳥が くわえて
観客の波を 抜け出て 神に飛んで
いく。
そんなstoryだった。


『~姫の左手が みるみる開きか
掌から 出てきたは
身を 滅ぼしや あの君が蓋
愛おし 寺稚児や
名書かれし
香箱の 蓋!

姫や 愛おし 寺稚児の
生まれかわりか!~』


アサミは、ティカに
気持ちを、もって行かれている。

その調子で、まずは
ケイヤクという
ヤクソクだ、


記憶の底にもう
面影さえ mallageなオレには、
手掛かりは
nameという peaceしかない。
と、思った。

が、、


カフェに、
焙煎の香りが、立ち込めて、
ローストされた豆が排出されると
今度は、照明が
ダウンして、
スポットライトが当てられた。

まるで、舞台のように
陰る世界に、
アサミの肩のシルエットを見て

ケイは 強張った。

見覚えのあるshoulder 。
そうか、
body lineは 記憶しているかもか。


因果因縁

輪廻転生

諸行無常


「そんな固いモノではないから
ノー problemだ。仕事終わりに
プライベートコンダクターを
して欲しいのが、ケイヤクだ。」


首もとの、『ティカ』の
スノーフェイスが、暗い中に
真っ白く オレの胸元に
浮かんでいる。

パチンと合図すれば
ティカは Tシャツの中に潜った。

「ええと、ツアーコンダクターを
個人で、やったら、いいと?」

アサミの声と同時に
またうっすら
店内の照明が戻ってくる。

、、!効いてる!
ティカがnegotiationに有効なら
もう少し 使うまでだ。

ケイが不敵に微笑む。

バーテンダーが
カウンターで、
コーヒーカクテルのシェイカーを
振る 『シャカシャカ』と
小気味いい音がして

orderしたmenuが揃った合図が
された。

ケイが オーダーした品物を
トレーに 戻って

「アサミは、
カプチーノcocoaと、coffee
タルトレットだね。どうぞ。」

アサミのオーダー分を渡す。
それを、手にしながら
アサミはまだ、食い下がった。

「ケイなら、ちゃんとしたガイド
雇えると、思います、けど。」

Lady
まだ言うのか?

続けて ケイは
ティカをケイのぼっさぼさの髪に
ピョコッと出してやる。

と、アサミはもう気もそぞろに
なって
ケイが畳み掛けた。

「いつもは、『キャンプEARTH』
でボランティアしてる。
たから、出来るだけイージーに
tripしたい。それも出来るなら
この国のGood pointを 見たい」

キャンプアースは、
国境を越えて国際協力を
するボランティア団。

「ケイは、、国は、どこ?」

「アジア、 南シナのSea Island
だ。アサミは わかるか?」

なんとなくねと
アサミは 眼鏡ごしに笑い、

「でも、わたし、プロの
コンダクターじゃないから、
お金とか、、もらえません。」

さらにケイに応戦。

手強いな。
ケイが首もとから、『ティカ』を
発動!!して止めをさす。

「So、対価は『 Magic』。
オモシロイ だろ?アサミは
After workに、コンダクターを
する。対価に、Lunch time magic
をショーする。滞在は10day。
それと、」

首元に『ティカ』を
出したまま、
ケイがゆっくりと、
樽熟成豆のアイスカフェを
口に含む。

「コンダクターとしてMission
エンドすれば、『ティカ』を
差し上げよう。どうだ?」

last cardだ。
向かいのアサミはクラクラ
しているぞ。ヨシ。!

「っ!本当に?」

もう正常な判断ではないな。
アサミ?

「I promise!神に誓う。」

愛の証は
断崖絶壁
死に遅れ 生き残り

只只絶壁

秒読みか
在業消滅


今度は、とうとう肩に『ティカ』
乗せて、ケイは 無駄に長い
足を組んだら とうとう

「ケイ、やりますっ。」

ケイヤク完了。
アサミ、やはりチョロいな。
また不適に笑って
ケイは
「ヨロシク、baby。」と

アサミに手を差し出した。

「何かあれば、ここに『魔術師
ケイとコンタクトしたい』
と言えばいい。スタートは
tomorrow!!Are you ready?」

カフェテーブルに出すのは
大手企業の名刺だ。

「OK、クライアント様。」

ニッコリと笑顔作ってアサミは
ケイに言う、

それは嫌味か?

ああ、
これでlast stageが見える。

カブキじゃ、
観客がpaper tape投げて、
まるでweddingみたいだったぞ。

エンディングには

紙吹雪が 舞台に降って

本当にシュールとしか
言いようがない
男と女。
生別が変わり、生まれかわって、近くにいない 場所にいても

必ず2人は 出会うという
last stageだ。

雲偏に愛く 波幕
黄昏時に 吹く風揺らぐ
蝋燭の 行灯


あの島で
燃えてた 行灯の火が
まるで
風で 消えて、こげたような
薫りが

『~夕闇迫る 篝火の行灯揺れ~』

このcafeでも している。
さあ、
始まりますわぁ 幕開け
柏木柏木~


朝、
職場のバンケットオフィスに
出社したら、朝のミーティングで
けっこうな事になってたってさ、
ミズキ先輩の話で
初めて知ったよ。

「昨日は、皆さんお疲れ様。
ご存知かもしれませんが、
急遽対応になったレセプション
会見ですが、依頼企業からも
大変評価を頂きました。
加えて、夕方のメディアは
全局ニュースに あの会見が
アップされました。スタート
から考えても 快挙でしょう。
全員の健闘、課長も本部より
労いと、讃えをもらえました。」

そこで、ミズキ先輩がさ、
最高の美女スマイルを輝かせた。
何十年に一回ある秘仏開帳
並みだよ。
ありがたやー。心ん中で拝む。

「本日は、より気を引き締めて
ヨロシクお願いします。
昨日のメディアリリースから
ボトルシップの取材と、
大使補佐クラスで行われる
ミーティングが予定以外に
スケジューリング
されましたので、、、」

今回の式典招待は、195ヵ国に
為されて、うち王族26組、
国家元首が100組ほど来日、
残る国賓代理大使が65組来日。

これは未曾有の異次元的
国際来賓の数だ。
この数でさえ、実際上式典に
参加する人数で、同伴する
大臣や官僚、補佐官も入れれば
倍の数では 足りない。
少なくとも1000組ほどは、
海外からの賓客が来ている。

そもそも、このヒルズヴィレッジ
ブランドホテルにはさ、
どれぐらいの国賓が今いるのだろう?と思うと 少しゾッとする。

都内の宿泊先は、
滞在だけの場ではなく、
友好外交の場所になっていた。

セレブも多いヒルズでもあるから、セキュリティは半端ないけど
それこそテロの標的にでもなれば
とんでもない。くわばらくわばら

ふと、昨日
ケイとカフェからモールの外へ
出て、じゃあと別れた後。
みれば ケイはさ
ヒルズヴィレッジのレジデンス
方向へGパンにポケットに
手を突っ込んで 歩いて行ったよ。

まあ、
ここを所有する財閥企業の
ペントハウス扱いの部屋が
レジデンスにもあるって、
同僚お嬢さん達がさ、
いつか話してたから
きっと、そんな辺りが
ケイの宿泊でも用意したん
だろう。レセプション救世主の
マジシャンだしと考えて、
頭を振って仕事モードに

切り替え切り替え。

官邸や大使館以外での
協力国での会議や、
初見の国同士が 補佐官クラスで
ファーストコンタクトミーティングをしたりが、うちみたいな
都内バンケットホールでとなる。

だからさ、
ホールのタイムスケジュールを
PC上で細かく確認よ。

やっぱり。

ここに来てのね、
昨日のレセプションは、外交官
のみならず、賓客と民間経済界との会合に起爆剤を与えたようだ。

もともとの 予定を越えて、
急遽リスケジュールされたさ
項目があったよ。
課長バタバタだろうな。

バンケットホールで持つ
幾つかのサロンは、
一斉に外交ミーティング予定で
埋められ 始め
満帆に成りつつあったから。

それでもこれは、ルーティン。
昨日みたいな事でなければ、
セッティングのみがさ、
バンケットスタッフの仕事よ。

ニュースでやっているような、
元首のお買い物や、視察なんて
コーディネートは官僚の管轄。
いやはや、あれはたまったもんじゃないよね。

そういえばさ、
ケイも へんなお土産を
買っていたよ。

へんなというのは 失礼か。
でもさ、なんでカフェにさ、
達磨とか、けん玉?ついでに
花札とか 売ってるかな?
それで、それを買うかなー。

そうなのだ
別れ際のケイは、達磨を小脇に
挟んで、ポケットに手を
突っ込んで帰るという
わけのわからない
出で立ちになってたね。

まあ、コメッサがさ
持帰りの袋は無しでと、
ケイが 言ってさ、
Tシャツの胸元にさ、
けん玉と花札を 飲み込ませた時の
顔ったら ケッサクだったよ!

「フフフ」

ヤバい、つい笑いが漏れた。
向かいのミズキ先輩がさ
変な顔してるって。

さて、問題は 仕事じゃなくて、
昨日の『ケイヤク』仕事の方だ。

幸い、ヒルズヴィレッジにある
昨日のコンセプトモールは、
日本の良質ブランドや、老舗店を
集めている珍しいモール。

ケイがさ、昨日、言っていた

『出来るだけイージーに
tripしたい。それも出来るなら
この国のGood pointを 見たい』

と言うなら、もってこいの
フロアもあるし、店頭体験できる
ショップもあるはずよ。

なにより、
モールの売りになっているの
ルーフトップガーデンが、
新進気鋭の庭師が作庭した
本格的日本庭園なのだ。
そう考えるとさ
まずわたしの、コンダクター
仕事初めは、
コンセプトモールからさ
スタートさせるのは、どうだろ?
お手軽『イージーtrip』だよ。

そういえばさ、昨日
帰りにモールの外に出てさ
芝生を見たら、段ボールは
なかったんだよね。
小人が 片付けたんだろうよ。
「ハハ」
ヤバ。ちゃんと確認よね。

じゃあ、今日あたりから、
本格的に要人ミーティングが
動き出すから、ホールセッティングに 人員が必要になる。

下のフロアへ確認と挨拶に降りる

このヒルズヴィレッジにある
タワーオフィスは、

地下1階からの 地上57階建てで
屋上には 緑化型最新ヘリポート。
56階は展望フロアだ。

49~55階が
うちのバンケット部の
親企業になるブランドホテルが
入って、
会員制VIPラウンジとか、
かなり高級系レストランフロアも
ある。
そして、7~48階が
昨日お世話になった『武々1B』
とか、
シェアカンパニーダイニングが
入っている、オフィスゾーン。
これは
ヒルズの極みだよ。

そして、6階が我がバンケット部
のあるホールフロア。
こう考えても、うちの部が
子会社的な位置になるのが
わかるよ。

6階の作りだけが、異質なのは
サロンホールって使用目的だけが、理由じゃないんだってさ。

なんでも、ヒルズヴィレッジを
所有してる旧財閥総裁の肝いり。
まあ、趣味がかなり
反映されてるってわけよ。

で、6階以降下のフロアには
プレミアムシネシアター、
カルチャースタジアムがあって、
割りとライフアシスタントする
テナントとかが
入ってる。

で、これから行くのがさ、

チューターやコーチャーはじめ
シッターやヘルパーの
主に派遣業をしている
ディスパッチセンターなわけよ。

「タムラさん、今から下に行く?
悪いけれど、ヤマモリさんに、
このタイムスケジュールを、
渡してくれるかしら。マル秘ね」

下に降りる準備をしてたら、
ミズキ先輩から、黒ファイルを
渡されたよ。

メールで送れない、人物の予定が
入っているのだろうけど。

わたしみたいに、
ホールセッティングの人員だけで
なく、
下のデスパッチセンターには
優秀な通訳や、ボディガード、
ショートステイ執事やメイド
なんかも派遣できるような

SSランクの派遣センターだよ。

「だから、わたしじゃなくて、
下なら ツアコン、いるのに、」
つい、ため息だ。

「何?何か言った?タムラさん」

しまった声出てた。

「いえ、何も。下行きます。」

あ、ならさ、
ケイのコンダクターする場所を
ちょこっと、相談できるかもよ。
よし、ケイトウとダレンにも
昨日のお礼に
向かいのモールで和菓子でも
買って持っていこう!

1階からさ、この6階までなら
わたしはさ、
平気で階段登り降りするよ。
常からしっかり
鍛えております。

「今から、下行きます、、」

わたしは、今日も階段で
トレーニング兼ねて
特にこの10日間は、
走り廻る。

なのに、和菓子を買いに行った
モールで、へんな光景を
見てしまった。
アサミとは別れて
ケイは ヒルズビレッジ区画に
あるレジデンスに向かう。

滞在先が 低層ラグジュアリーな
レジデンスのペントハウス。

ここをケイに用意したのは
西の財閥一族の娘
『住之江 繭子』。

ケイにとって 10年前から続く
捜索協力者だった。

『ケイ様。わたくしも、そちらに
間もなく伺わせて頂きますのよ。
せっかくですもの、少しお時間
頂けますこと?
わたくし、間近で ケイ様の
イリュージョンを拝見しとう
ございますの。如何かしら?』

Next morning、

マユから callがされて
オレに 言ってきたのは、
reception illusionがmediaで
流され、好評だったと
いう事だ。

『ケイ様、テレビをご覧に
なりませんですの?仕方ない方
ですわね。あらまあ、もう
近くですので後ほど。では』

ご機嫌ようのセリフで、
ピッとtelephoneが切られた。

やれやれだ。
とりあえず、イリュージョニストとしての workは完了だろ。
今度は
Princeのworkだ。

今回の国家式典招待は、
195ヵ国に為されて、
うち王族26組、
国家元首が100組ほど来日、
残る国賓代理大使が65組来日だ。

これは未曾有で異次元的な
国際来賓の数だろう。

この数でさえ、実際上式典に
参加する人数で、同伴する
大臣や官僚、補佐官も入れれば
倍の数では 足りない。
少なくとも1000組ほどは、
海外からの賓客が来ている。

都内の宿泊先は、
滞在だけの場ではなく、
友好外交の場所になっていた。

マユがケイに用意した
ヒルズビレッジレジデンス
向かいのホテルにも
海外賓客が滞在してる。

とわいえ
これはヒルズビレッジに
マユがペントハウスを
持ったのは全く偶然。

新しい建設されたヒルズビレッジ

西の財閥一族のマユが
そのレジデンスの1つを持つのは
珍しい。

「東にbaseを置いてsearch出来る
ようにマユが したんだろう。」

もう西は手詰まりだったケイに、
今回レセプションを
急遽依頼してきたのは
ヒルズビレッジ所有企業だった。

「Newsを見ろって言ってたか」

ケイが TVをオンにして見れば
丁度、海外賓客の元首が
ショッピングや、視察をしている
模様を映している。

「と言っても、もうlast chance
だがな。2度とここには
来れないだろう。sorry マユ。」

ケイが ニュースを確認すると
再び電話に着信の表示が
されて、ケイは それに応答する。

『やっほ~emperor!!
昨日のレセプションはぁ、
大成功だったみたいだねん~。
海外からのゲストと経済界の
交流に起爆剤を与えたってぇ、
ニュースになってたよぉ。
紹介の価値あったねぇ~。』

ギャラリストのハジメからの
callに、ケイは

「Thank You ハジメ。オカゲで
I did a good job だ『ガンカケ』
がきいたのかもだぞ。フン!」

電話口で機嫌よく笑いながら
ハジメに礼を言って、

『えぇ、マリッジハンター的な
意味かなぁ?それぇ~。それとも
イリュージョニストとしてぇ?』

ハジメの質問にフザケるように
昨日カフェで買った シックな
『達磨』を撫でてみる。

「ハハ!!It's all!だ!ハジメ」

へんなdollを売ってたが、
shop assistantが言うにはだ、
願いをかける『ダルマ』だと。

「ハジメが art festivalで 教えた
power spotのオカゲだろ?」


shop assistant のfaceは
ケッサクだったぞ。
オレが Tシャツの胸元に、
shopping itemを どんどん
入れるんだからな!

「フフフ」

ヤバい、つい笑いが漏れたが、
コイツ早速 『メダマ』を1つ
入れてやろう。

『emperor!ガンカケの指輪ぁ、
それならさぁ、このわたしに
譲ってくれるかなん?もう、
願いが 叶ったならぁ、今度は
わたしの番だよぉ~!!』

ぬかせ!!

「ギャラリスト探偵ハジメ。
自分でpower spotで手にしろ!
『ガンカケ』なんだろ。切るぞ」

乱雑に電話を切ったケイは、
自分の万年筆で、
達磨の片目を黒塗りする。

今日から
お手軽『イージーtrip』だ。
スタートさせるのは、運命。
まだ どっちにコロブか
解らないんだからな。

「その前にprivate butlerを
Dispatch centerに依頼だな。
実に便利なHillsだな ここは。」

このヒルズヴィレッジにある
タワーオフィスには、

地下1階からの 地上57階建てで
屋上には 緑化型最新ヘリポート。
56階に展望フロア。

49~55階がブランドホテル。
会員制VIPラウンジ、
高級系レストランフロアがある。
そして、7~48階がオフィス。

6階以降下のフロアには
プレミアムシネシアター、
カルチャースタジアムがあり、
ライフアシスタントする
テナントが入っていた。

「Conciergeがいってたのは
このcall number だったか。」

そこに
チューターやコーチャーはじめ
シッターやヘルパーの
主に派遣業をしている
ディスパッチセンターがある。

優秀な通訳や、ボディガード、
ショートステイ執事やメイド
さえ派遣できるような
SSランクの派遣センターだ。

「Hi!SS classのprivate butler を、 Residence paint houseに。」

もうすぐ、マユが来る。
そしたら『ダルマ』を見せて
『ガンカケ』の話をしてやろう。

あれ?なんでわたし
こんなに??? なんだろう、、


派遣してもらう人員打ち合わせを
早々に終わらせて、
まだ開店間もないモールへ。

アサミは 目処をつけている
和菓子店に向かうつもりだった。

けどさ、
きっと、アレは ケイだよ。
あ、言い方が 違った。

昨日、
『ヒーローとして現れたケイ』の
その次の日の 姿をモールで、
見てしまった。
と思う。

だってさ、
イリュージョニスト・ケイは、
黒のスーツに、ネクタイ姿で、
前髪も艶やかに整えてよ

まあ、見ようによっては
どこかの若頭風だけどさ、

着物の 大和撫子ご令嬢と歩いて
いなさるわけよ。

それは、もう、和やかに
周りに眩しい オーラ飛ばして。
これはさ、
ショー・アーティストとして
セレブに ゲスト扱いでも受けて
るんだろうよ。

なんだ、もう
ちゃんと ミスユニバースみたいな
ご令嬢に案内されてるじゃん。
ふーん。
じゃあ このモールは、
ツアコン先に、使えないかあ。

声も掛けずに、わたしはさ
テナントの横から ケイ達が
通り過ぎるのを 待つしかない。

お嬢様の着物を見れば一目瞭然。
仕草をみれば、サラブレッド確定
淑やかだけど、瞳を見ればさ、
あれは、、、。

お嬢様達を挟んで、セキュリティ
さえ付いてるもんだから。

レジデンス宿泊を提供できる
ぐらいのご令嬢に、ケイはさ、
見初められたんだろうよ。


これでもさ、『元成金没落令嬢』
なんだよ、わたし。
あの着物が どれだけ高いか
想像できるし、でもって、
生粋の女子学園育ちだからさ
あーゆー、
恋する乙女の瞳ってやつ、
全然知ってるよ、、

良かった。

下のデスパッチセンターで
派遣主任のヤマモリさんに、
海外の友人にツアコンするなら
何処が良いか、

聞いといてさ。

じゃなきゃ、今からまたさ
ツアコン場所探さなきゃだった。

まあ、そんなわけでさ
わたしは、そのまま手ぶらで、
バンケットオフィスに
戻ったわけ。

それからは、
バリバリ お仕事して。忙しく
没頭してたからさ、
夕方を 迎えた頃には、
なんか モヤモヤは
忘れてた。


オフィスタワーの
エントランスホールは
今だけ 一時的に開放されて、
ペットボトルシップの展示を
フリーで鑑賞できる。

どこかの大学生達だよね、
ゼミで見学に来ていて、
あーだこーだ、
レポートを書いたり、
写真撮ったりしている。

そんな学生に 混じって、
ケイは待っていた。

今日の黄昏時は、
ぐっと 気温が下がっている。
その証拠に、ケイは
白の長袖トレーナーに、
濃紺Gパン だった。

昼間のオーラは 何処に、
ぼさぼさ伸びっぱなし髪に
眼鏡をかけて、
冴えない感は 満載だ。
とはいえ、
自分も、似たような地味さだし。

普段は こんな引け目なこと、
思ったりしないのにさ。
やだやだ。

「アサミ!お仕事お疲れ。
今日から、コンダクター
ヨロシクお願いする。楽しみだ」

学生達に紛れて ケイが
スマイルで手を振りながら、
やって来る。

「じゃあ、クライアント様。
依頼の、最初は、Japan trip。
秋の催しに、ご案内します。」

アサミは 硬めな 会釈をして、
アドバイスをもらった先に、

不審者ケイを リードした。


ヒルズヴィレッジからも
遠くない場所。
この国の 政治経済の中枢場所に
緑が広がる一角がある。

高台にある社は、
ライトアップで、淡く灯され
ゲストを迎える。

もともとは、
琵琶湖畔の霊山守護する
お山御神体の信仰であり、
明治天皇が、
東の都に 居住する際、
『王の城、皇居を中心とす首都』を守護する社とされた場所。

摩天楼に囲まれてるだけあって
企業の信仰集める神社でもある

彩飾鮮やかな社。

拝殿の天井草花面や
千本鳥居、
神輿が昇る男坂が みどころ
だが、
この日は
仲秋の名月の下

いかにも 日本的な太鼓や、
管弦 菊の花や刀を使った
巫女舞が 厳か行われていた。

他にも有名な観光寺社仏閣も
あるけど、今日なら、
ここにして正解だと
アサミは ケイと並んだ 席で思う。

『雅楽』は日本と
アジアの音楽が融合した、
最古の音楽で、
交流的な ツアコンなら
もってこいの儀の日だと、
ヤマモリさんが 教えてくれた。
その
アドバイスが効を成したわけ。

奇しくも
ここは、『山王』信仰。
自分の真の名前。2つ名を思う。
アサミには 身近な社だったのも
選んだ理由。


秋の夜空に、
笙の音が響くと、満月が冴えて。

10はある演目の切れを、
森の、虫の声を余興と、
野外舞台の 幕間に聞く。

巫女の舞方が、動から静へ
刀がぴたっと 重なり合う瞬間は
時間が止まる。

そんな
途切れ途切れの流れの
端々に、ケイの横顔がある中
ふいに、
み垂らし月団子の先端が
口に入れられて 驚いてしまう。

悪戯が成功したと
音なく笑って、
『シーッ』と指をたてるポーズを
する、眼鏡の ケイの顔がある。

お月見団子はさ、
さっき ケイが鑑賞の合間にって
買ってた、ヤツだけどさ、
上の一個を串ごと
口に入れられて、残りを
ケイが横にな切るみたいに
自分の、口に、齧り
入れてしまう わけよ。

なんだか 。

次第に盛り上がる 『冬明楽』
4人舞の鳥兜が 2対2、
完全に動きが リンクして
観客全員が 舞台に心を 奪われた
次の 瞬間

ザーーーーーーーー
五十鈴を鳴らして、、風が
境内を 秋吹いて
観客の髪をぉぉ 乱す、、。

バレッタ!! 弾けて長い髪が
無様にぃって広がってしまった、
自分の髪を ハタ押さえる
アサミの 頭を
フワリと、撫でた感触は

ケイの手で作られた
温度で、
アサミは柄になくそんな空気に、
惹き込まれていた。

なんだかさ、
魔術師、恐るべし。

Why?
何故、マユの前にこの男に
ガンカケの話をするハメになる?

ケイの目の前に
悠然と座りながら
一分の隙も見せない男。

企業研究所の所長というには
若くて無駄にイケメンだ。

Sharrock こと ハジメが Dirと
呼ぶが 『Nobleman of ice』が
似合いだろう。

しかも、かなり、デキル。
キレナガのeyeはeasyでも
Trained bodyを そのsuit隠して。

じっと、ケイの左手中指を
見つめる眼差しに
居心地の悪さを感じながら、

ケイは、この中指のモノの
話を、始めた。

「Dir レンも旧知、ハジメに
power spot storyを聞いて
climbing 『ガンカケ』で
手にした ringだ。」

そして、左手の中指を示せば、

龍の紋様に『不動尊守護』と
刻印された銀 の願掛け指輪が
光っている。

「わかりました。そのまま続けて
ください。カイザー王子、いえ、
イリュージョニスト・ケイ。」

長身の体をスッキリ姿勢よく
向かいのソファーに沈めて、
ニコニコと微笑みながら
指を組んだ膝の上で、
交差組むポーズの

『氷の貴公子』に、
ケイは ハアーっと 溜息をついて
話をする事にした。



芸術祭が開催される島の1つ。
には島遍路ができる場所が
ある。

厳しい霊場で、難所や、
山岳寺院も多く、さながら
バーミヤンの石秘仏のような
パワースポットや、

海洞窟を思わせる社も
ある中
ハジメが ケイに勧めたのは
断崖絶壁にある寺だった。

本坊から、とにかく長い
石段を登り ようやくスタート。

「My road!本当にこんな場所を climbing で行かれるのですか?」

ケイの警護人が 思わず声を
上げる。それもそのはず。

「そう、らしい。」

目の前には ほぼ垂直に立つ崖。
岩場に 一応鎖がついているが、
一見にして 酷い急勾配だ。

ハジメいわく。
本来の修行は 鎖なしの
ボルダリングで上がるらしい。

「Impossible !!です!!
My road!
chainを使いましょう!」

なるほど、chainを使えば
目の前の推定90代ladyも
climbingしているのだ、いける。

「ここは nice trainingになるぞ」

「NO!『ガンカケ』にtrainingは
要りません!と、しましょう!」

只でさえ、下から上がってきたのですとか、なんとか
文句を言う護衛を無視して、
ケイは
先に登った 90代ladyの所作を
真似して、

参道入り口にある、
金色の鐘を鳴らして、

「今カラ オ参リサセテモライ
マス。ヨロシク オ願イシマス!」
と挨拶をして、
鎖に手を掛けた。

鎖を持ちながら、
ほぼ垂直の岩場を見回すと、
足を掛けれそうな場所が
ちゃんとあった。

「これは、帰りのdown roadが
キツイversionだな。くっ、おい
下を一緒にgripすると、上がり
にくいぞ。Oh!揺らすな!」

いつもなら影で任務を遂行する
護衛が、今は 影も何もないと
一緒にクライミングする。

下から遍路の読経を読む列が
上がってくるのが見える。

噴火でできた高い山の断崖絶を
登る修験の場。

風に煽られ 天空に祈りの声も
昇る。

はじめの試練を登ると、
不動明王が置かれていた。

「So that you can climb safely」

ケイはその前で安全祈願をして、
さらに
並ぶ子育て地蔵の前を行く。

ここからが後半、
2つ目の岩場だ。
見上げれば
『いろはうた』なる石板が
横にある。

余りの勾配に、根を上げない様に
少しでも気を紛らせれる
配慮らしい。

それだけ、下から順当に上がれば
本殿の前に立ちはだかる
崖は絶望的になるだろう。

本来の修験は山の麓から
始まり、足で登るが、
今は金の鐘まで車で来れるのだ。

「本殿への道はここだけか。」

とはいえ、
勾配は相変わらずキツくても、
中央には鉄で出来た
手すりをつたって登れる。

例え寺の納品があっても、
ここから人力で上げる
スリル満点な岩場を
ケイは護衛と
黙々と 登り切った。

そこには 崖沿いに石橋や、
崖に石仏が添えられた
暗い洞窟の入り口がぽっかり
空いている。

ここをくぐり抜けて
行かなければならない
これが本殿の入り口だからだ。

洞窟に入ると 撫でる仏が
鎮座して、その下には
木をくりぬいた六角形の木枠が
入った穴
『くぐり岩』と入り口にあった
『幸せくぐり』と呼ばれる穴が
見えた。

「『タイナイメグリ』とか
ハジメが言っていた 穴だな。」

産道を意味するこの場所を
抜ければ「滅罪招善」である
とされ、
幸福な縁に結ばれる。

穢れを落とし、生まれ変わる。

厳しい試練の先にだけ
辿り着ける霊場の利益だ。

ケイが入ろうとすると、
電気のスイッチを見つけて
撫で仏を照らして 祈っていた
護衛が

「しかしMy road。我々の体では
穴につかえてしまいます。
Impossible です!NO attack!」

と慌てる。

「いや?ここまで来たらクグル。
つかえれば、引き出せ。行くぞ」

ケイは柔軟な体で、体躯良く
抜け出して、仏に合掌。
それから 護衛が肩を上手く
かわし抜けるのを
腕ごと 引き出した。

洞窟を出ると
標高の高い景色が
広がる景色とあわせて、
すぐ本殿に出た。

「My road!素晴らしいですな!
足場が狭いですが、自然と
恐怖より mother powerに
守られいるようでございます」

薄暗い本殿から 光る、
外の景色は
広い空と緑の山合間に
棚田の里。

抜けた洞窟と相まって
より鮮やかに焼付く。

瀬戸内の海も一望できる眺めは
清廉とした
空気で、仙人さえ感じる。

「Island protected by Godだ。」

自国とは違う風景は 雲の上だ。
ケイは 護衛と暫し楽しむ。
本殿には、
岩場をくり貫いた中に
仏が祀られて、
その横に目当ての
『願掛け指輪』が売られ

ケイは 蝋燭を供えて
祈る。

ずいぶん romantic prayer だ。

ケイは自分に苦笑して
ようやく ハジメに聞いた
評判の銀の指輪達と説明の前に
足を止めた。


右手の親指
不眠、心の安静。
人差し指ー学業、進歩栄達。
中指ー忍耐。苦しみに耐え抜く。
薬指ー厄除け。戒めで魔が退ける
小指ー健康運。病気災難断絶。

左手の親指ー智慧を得。
入学・入社運。
人差し指ー勝負運。力を得。
中指ー良縁。願いが叶い。
薬指ー商売運。財産を得。
小指ー開運。恵みを受。

ケイは当然 ククッと笑って
純銀の指輪を左手中指にはめる。

「Marriage hunterだからな。」

願いが叶えば
指輪は返しに来る。
本堂の外陣には
役目を果たした指輪が
山と積まれているのだから
効果は期待できそうだ。

住職が 2人に声を掛けてくる。
きっと外国からのゲストだと
会話で解ったのだろう、

この場所は
88箇所ある島遍路の 73番札。
72番の寺の奥の院になり、
次の74番には 歩き遍路なら
途中の子育て地蔵の場所の奥に
鐘楼堂があり、
その奥の 88石仏など
山仏や不動明像に
見守られる 道が
続いていると 教えてくれた。

「このprayer groundは ほんの
一分なのだな。オレは それを
切り取っただけのvisiterなのか」

住職に 護衛にスリンを吹かせても
いいと了解を得て、ケイは
スリンー竹笛の音を奉納する。

『シャクハチ』みたいな音色だと
いわれながら

神聖な寺院であり霊場。
祈りを捧げる厳粛な場所で
嵌めた 指輪を


ケイは 再び 目の前の
『氷の貴公子』に示して、

真っ白い歯をニカッと見せて
満面破顔した。

How did you come ! Dir レン!