カグラビル前に私、葵、花房くんが揃った。すぐそこには若狭の運転するクルマが停まっている。

「時間通り。よく来たね。」

神楽さんが出迎えてくれた。
そういえば、花房くんから聞いた話だが、神楽さんは高校生らしい。私たちの一個上。
到底そんな雰囲気は感じさせない大人の雰囲気が醸し出されていた。

「優斗は雷と風からすることや、縄張りとか諸々聞いてるだろうから、行く途中にでも教えてあげて。」

「わかった。」花房くんは頷く。

「じゃ、いってらっしゃい。詩織ちゃん、葵くん、何か聞きたいことがあったら、優斗通して俺に聞いて。」

「わかりました。」

それを機に私たち3人はうちの黒塗りセダンに乗り込んだ。

「ここ集合にした意味、なんだったんだろうね?」

発進した車の中、私は2人に声をかける。

「…さあな。」

花房くんは目も合わせずにそう返した。