その後もぐるんぐるん葵と花房くんのことを考えていた。

結局答えは出ないまま、一限の数学が始まったわけだが…。
あーあ。数学みたいにぽんってこの問題も答えが出ればいいのに。

こういうとき、友達がいれば何か違うのだろうか?

ふとそんな思考が頭をよぎる。
…いや、美少年二人から言い寄られて困ってます、なんて嫌味でしかないじゃん。

組員に相談してみる?いや、恥ずかしくない?それ。

両親は?…お父さんが怒り狂い、お母さんが赤飯を炊くのが目に見える。

…私、どんだけ相談できる人いないの?

急に悲しい現実を突きつけられ落胆のため息をつく。
そのとき、私の肩にチョンチョンとつつかれる感覚があった。
もちろん、そんなことをしてくる席が近くの人なんて彼しかいないわけで…。

「大丈夫?男二人に取り合いされてる七桜さん。」

なんで私がぼーっとしてたのかきっちり当ててくる花房くん。

「大丈夫。それより、私なんてほっといて授業集中しなよ。」

私は大して大丈夫でもないが笑顔で言う。
もう、気にしても埒があかないかと思い、私も授業に集中するために前を向いた。

「…ふぅん。その言葉、いつまで言えるかな?
案外、俺が恥ずかしいこといっぱい言っただけで大丈夫じゃなかったりして?」

私は変わらず前を向いて、「授業。」と言ったが、内心ひどく焦っていた。

ばかばかばか。
ずっと大丈夫じゃないのに。追い討ちかけてなんてほしくないのに。

組織の仕事に支障なんて出したくないのに。

なのに、なのに、

なんでこの人はこんなに積極的なの?